2021年01月01日・08日 1656号

【食の支援 コロナ禍で高まる フードパントリーの意義】

 コロナ禍は収束の気配すら見えず、食の支援はますます切実となっている。東京・足立区千住、大阪・京橋で続くフードパントリーの現状を伝える。

必要とするすべての人へ/オープンから1年 利用者は8倍に/東京都足立区

 千住フードパントリーの正式オープンは2020年2月。利用申し込みは9世帯でした。1年たった今、60世帯以上に利用してもらっています。利用したことがある世帯数でみると74世帯、8倍になりました。

 毎回「平和と民主主義をともにつくる会・東京」のみなさんが各戸を回って千枚、2千枚とポスティングしています。おかげで、開催のたびに4〜5世帯ずつ新規の利用者が増えています。チラシのほか、すでに利用されている方からの口コミも大きいです。

 利用者の3分の2はひとり親世帯。ほかに、障がいのある方や生活保護を受けている方、高齢で足が不自由な方、最近多いのはコロナ禍で失職や減収になった方―さまざまな方が利用されています。大学にも案内がいっていて、大学生の利用者もいらっしゃいます。

 感想としては「スタッフのみなさんがとても親切で、雰囲気がよくほっとしました」「形の悪い野菜や賞味期限が近いものが廃棄される現実がいやで、求めている人に少しでも回してほしいと思っていました。千住フードパントリーはその願いをかなえてくれ、とても感謝しています」「ステイホームで食費や光熱費の支出が増えました」など。障がい者世帯やお子さんが小さい世帯を対象に宅配も行っていて「毎回自宅に届けてくださってありがたい。感謝しかありません」「本当に助かりました」という声が寄せられています。

 これはチャリティーではなく、利用者と対等でありたいという思いを持って行っています。実際、利用者の中には毎回早めに来られてスタッフとしてお手伝いしてくださる方がいます。「私時間があるからいいわよ」と継続して来てくださる地域の方もいます。

 土屋のりこ区議の頑張りで「子どもの食の確保緊急対応事業」として足立区から補助金を得ることもできました。食の支援を、一番必要としている方たちに届けられていると実感しています。2年目に入る今後、利用されている方の意見や要望を聞くアンケートを実施し、それに応えられるようにしていきたいと考えているところです。

(千住フードパントリー・藤平りつ)


見えにくい貧困を支援へつなぐ/フードパントリーさらに大きく/大阪市城東区

 12月12日、大阪市城東区内で第4回「京橋フードパントリー」が開かれた。

 これは、平和と民主主義をともにつくる会・大阪の有志で立ち上げ、企業から寄付された食品などを支援が必要な方へ届けるもの。

 4回目となる今回は、シングルマザーや病気がちで生活の苦しい夫婦、単身者など、31世帯に手渡した。

 当日の運営は、スタッフ9人とボランティア5人。これまでの実践を踏まえ参加者に対応する体制を整えたことでスムーズに進行できた。終了後のまとめミーティングで、初参加のスタッフは「普通の生活に見えても、実際には見えていない貧困があり、フードパントリーはそれを救う活動だと理解できました。受け取りに来られた方からお話を聞くのは難しかったけれど、また機会があれば参加したい」と感想を語った。

 代表の福永篤志さんは「一戸建てに住んでいても、貧困で苦しんでいる人もいるのが実態。私たちにできることは、個人で生活支援を訴えられない状況をつかみとり、行政への要請につなげていくこと。大阪市を変えていく大きな力になる」と語る。

 「京橋フードパントリー」は当面、利用者50世帯を目標に取り組みを進めている。

 利用者が求める新鮮な農産物を手に入れる手段として、先行する足立区の実践にも学んでフードドライブ(余っている食べ物をフードバンクなどに寄付する活動)への協力者とどうつながっていくかを、福永さんたちは模索している。

 毎月第2土曜定例で、次回は1月9日の14時から。

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