2021年01月22日 1658号

【1658号主張 緊急事態宣言、罰則付与に反対し 市民の命と生活を守ろう】

人災の責任転嫁

 菅政権は、1月8日から1か月間、東京、神奈川、埼玉、千葉の4都県に新型コロナウイルス特別措置法に基づく緊急事態宣言を再発令。1月13日には、大阪、京都、兵庫、愛知など7府県を対象に追加した。

 菅は「若い人たちが感染源になって広がっている」(1/10NHK)と若者や飲食店などに責任を転嫁した。だが、そもそもこの事態は誰が作り出したのか。市民に会食を控えよと求めながら、菅らは毎日高級ステーキ店で会食を繰り返した。「ずっと自粛して我慢していたが、政治家が忘年会をしているのを見てばからしくなった」―名指しされた若い世代の率直な声だ。

 感染急拡大は、命をないがしろにし、堕落腐敗した菅政権がもたらした人災だ。緊急事態宣言は、感染と被害拡大をとめるものではなく、基本的人権と民主主義を破壊するだけだ。いま必要なのは、PCR検査拡大、医療体制拡充、休業補償だ。

罰則導入で警察国家化

 新型コロナ発生からまもなく1年。冬に感染が拡大することは明らかだったが、政府は無策のままだった。

 昨年春、安倍前政権の緊急事態宣言では、休業強要等の一方で十分な補償はなかった。2020年の飲食店倒産件数は過去最高の780件。負債額5千万円以下が全体の8割を占める。菅がこだわり続けたGoTo事業は零細事業者を救済するものではなかった。このような状況で罰則を導入すれば新たな倒産、廃業、解雇を生むしかない。

 にもかかわらず、菅は1月18日からの通常国会で、営業時間短縮に応じない事業者や入院拒否等の市民への罰則適用を盛り込んだ新型コロナ特措法、感染症法の改悪を狙う。緊急事態宣言はその地ならしでもある。

 多くの死者を出しているヨーロッパでも被害拡大を口実として後から罰則が強化され、自由、民主主義が後退し、警察国家化が進んでいる。国家権力と私権制限を強化し、感染防止効果もない罰則導入に反対しなければならない。

命守る要求突きつける

 新型コロナ対応病院では看護師の2割が退職(日本看護協会調べ)。自宅や隔離先で「変死」後に感染が判明した人が3〜12月で122人に上った。各地で、PCR陽性でも入院先が決まらない人が続出し重症者が受け入れられない医療崩壊≠ェ始まっている。

 命を守るには、医療と生活の両方を守ることが必要だ。予算を組み替え軍事費を削り、富裕層や大企業に課税強化することで、医療従事者、零細事業者、労働者に手厚く補償しよう。ただちにPCR検査拡大・医療体制拡充など対策を取らせよう。罰則付与を阻止し、人権と民主主義を守ろう。今、命を守る要求を政府・自治体に突きつけるときだ。

  (1月13日) 
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