2021年01月22日 1658号

【新型コロナ感染症/検査・補償・医療機関支援を直ちに】

 新型コロナ感染症の感染拡大が止まらない。市民に責任を押し付ける政府・自治体緊急事態宣言だけでは何の感染防止策もしていないに等しい。必要なのは検査・補償・医療機関支援だ。

 防疫は政府・自治体の国民に対する最低限の義務だ。

 1月9日、全国の新規感染者は7757人となった(速報値)。4日連続の過去最多更新だ。とりわけ、都市部の新規感染者が激増し、感染経路不明者は6割超えが続く(東京都)。それでも菅は、臨時職員の雇用などで保健所の人員の補強するなどの手を打たず、疫学調査でクラスターを追うことすら放棄した。

 「調査していない」なら感染増の原因は不明のはず。「会食が感染増の原因」とはならない。明確な根拠もない飲食店中心の時短要請が、感染拡大終息につながるかは全く不明だ。

 危機的事態である以上、少なくとも新規感染者急増地域で、国際的常識となっている無症状者を含む大規模検査を実施し、感染実態を正確に把握すべきだ。

 菅は「GoToトラベルが感染拡大の原因であるというエビデンス(科学的根拠)はない」と言い続け撤回しない。エビデンスがないのは、調べていないから当然だ。だが、東大大学院のチームが「GoToトラベル利用によって新型コロナ感染のリスクが増加した可能性がある」との調査結果を発表している。

 それでも「原因ではない」と言い募るのなら、実際に調査しデータで反論すべきだ。経済優先、病院支援放棄で医療体制ひっ迫を自ら招き、政策の都合で検査を忌避し実態解明に背を向けるなど許されない。

 医療現場への支援は急務だ。急増する感染者を隔離する臨時医療施設を整備し、無症状感染者を医療の保護下に置かなければ、感染者の命も未感染者の健康も守れない。新規感染者が減らない限り、医療の逼迫(ひっぱく)は深刻さを深める。病院経営への直接的な財政支援、医師・看護師が業務に専念できる態勢の確保は必須だ。

生きることを保障せよ

 欧米諸国は菅政権と桁違いの補償を打ち出している。

 イタリアは飲食店への補償上限は1900万円、ドイツは規制を受ける幅広い業種に、ひと月当り固定費を最大6300万円補助する。英国は第一波で家賃支払いの繰り延べを決定した。米国でも、市民1人当たり6万2000円支給し失業手当は週当たり3万円超の上乗せをしている。

 行政権力による「自粛要請」とは実質強制だ。規制の対象となる業種には事業継続に十分な補償をすべきだ。また、市民一人ひとりの生活を保障する直接補償が必要だ。合わせて、住宅用・営業用の家賃やローンなどの債務の繰り延べで困窮を防がなければならない。

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