2021年01月22日 1658号

【大阪市教員松田さん/「君が代」処分取消へ提訴/子どもの権利を守り 維新の支配を打ち破る】

子どもの権利の視点から「調教教育にNO」

 国旗国歌法制定から21年、大阪市国旗国歌条例制定からもうすぐ9年。「日の丸」に向かって姿勢を正し全員が「君が代」を斉唱する卒業式・入学式が当たり前になっています。しかし、それは、強制によって作り出された偽りの場、子どもたちに「日本国家の崇高さ」を感得させようとして無理やりつくられた場なのです。毎年めぐってくる卒業式・入学式をこのままにしておくことはできません。真実を語ることが必要だ∞子どもたちには、『君が代』の歴史や『君が代』を良しとしない者がいる現実を知る権利がある≠ニ訴えたいと思います。

 2015年の私の「君が代」不起立処分についての大阪市人事委員会裁決(20年6月)は、私の事案を具体的に検討することなく、最高裁判決等を機械的にあてはめただけのものでした。起立・斉唱は「慣例上の儀礼的所作」で思想・良心の制約の程度は大きくなく、職務命令は厳粛な式典の進行や秩序・雰囲気確保のために必要だというのです。市の国旗国歌条例の下、教育活動としての起立・斉唱命令であり、式の雰囲気を壊すどころか不起立を見た生徒がいるかどうかすらわからない私の場合も、この枠組みが踏襲されました。

 私は、「君が代」強制を子どもたちの権利の視点でとらえなおし、最高裁判決の枠組みを変える裁判にしたいと思っています。裁判名称は「『君が代』調教NO! 松田さん処分取消裁判」。D-TaC(〜「君が代」処分撤回!松田さんとともに〜)学習集会「『子どもの権利条約』ってなぁに…」は、そのスタートの場となりました。

 私は9月17日に「コロナ在宅勤務不払い裁判」を始めています。裁判が2つになりましたが、ともに維新支配がもたらしている歪みを問うものです。ぜひ勝利し、維新支配を打ち破る一翼を担いたいです。ご支援よろしくお願いします。

(原告・松田幹雄)


命令・処分で荒廃 教育再生を松田さんとともに

 12月17日、大阪市立中学校教員松田幹雄さんは「君が代」不起立処分撤回を求め、大阪地裁に提訴した。2015年3月卒業式での不起立に5月戒告処分。人事委員会に不服申し立てして5年を経た昨年6月、人事委員会は却下の不当裁決を行った。

 松田さんは、大阪市の「国旗国歌条例」や教育長通知が、子どもたちに「君が代」の歌詞の意味や歴史などを教えることなく式で「君が代」斉唱を教職員に強制することで、「調教」教育として子どもたちへの強制、人権侵害につながっている、と提訴した。

 裁判提訴報告も兼ねて12月26日、D-TaCの学習集会「『子どもの権利条約』ってなぁに…」を30数名の参加で開催した。子どもの権利条約と学校教育の関係、北欧、フランス、ドイツ等の学校教育や制度についても詳しい元大手前大学教授・北川邦一さんを講師に「子どもの権利条約と学校教育」について学んだ。

 講演で、松田さんの提訴の視点「今の『君が代』斉唱の実態は、知る権利や意見表明権など子どもたちの人権が侵害され、『子どもの権利条約』の観点から国際的にも違法であること」が一層明らかになった。弁護団の谷次郎弁護士は、提訴報告で「子どもの権利条約」に関わる部分の論点を解説した。

 今、コロナを口実に子どもの実情や現場を無視したICT教育などが推し進められ、一人ひとりに寄り添った教育を求める声とのせめぎ合いが強まっている。この「『君が代』調教NO!松田さん処分取消裁判」を、維新政治の下、競争教育や命令・処分で荒廃させられた大阪の教育の民主的再生への一翼を担うものとして闘いたい。

(D-TaC世話人・田中秋子)

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