2021年01月22日 1658号

【カジノ住民投票条例案 自公の反対で否決 横浜市議会臨時会 民主主義と住民自治を踏みつぶす/市長と市議会を変える次の闘いへ】

 横浜市議会は1月8日の臨時会本会議で、カジノを含む統合型リゾート(IR)誘致の賛否を問う住民投票条例案を自民・公明両会派の反対多数で否決した。法定数の3倍を超す19万3193筆の直接民主主義を求める声はたった3日間の審議で無残にはねつけられた。

民意敵視の市長と与党

 討論で、自公議員は住民投票や直接請求運動に対して悪罵の限りを尽くし、住民自治への無理解をさらけ出した。「市長や私たち(推進派市議)を悪者にするために署名運動を扇動」「議会がすべき議論を中途で放棄しての住民投票は議会制民主主義の悪しき前例」「軽々に市民に判断を委ねてはいけない」等々。

 市民の声に背を向ける傲慢さでは林文子市長も負けていない。昨年10月には、リコール署名集めの同時進行に動揺し、「住民投票の結果は尊重する」と述べていたが、条例案に付した意見は「住民投票の一般的な制度化はなされていない」「コストも十分考えなければならない」「IR整備法が定める民意反映の制度に加えて住民投票を実施することには意義を見出しがたい」「代表民主制が健全に機能している本市での住民投票は、これまでの議論の棚上げになる」と否定論のオンパレード。

 神奈川新聞のインタビュー(1/3)には「IR整備法では住民投票をやる必要はないと決まっている」と事実に反する見解を開陳し、臨時会初日(1/6)の質疑でも「議員の皆さまと粘り強い議論を積み重ね、市会とともに二元代表制の役割は果たせている」といった自画自賛を繰り返した。

再開発の方向考え直せ

 一方、2日目の常任委員会では横浜市政初の請求代表者3人による意見陳述が行われた。横浜港ハーバーリゾート協会の水上裕之さんは藤木幸夫会長の意見を代読。「山下ふ頭に博打場は作らせない。どうしても作るというなら、私を倒してからにしてほしい。負の要素だらけの事業に1兆円規模の投資をする。民間の感覚からは常識外れ。危険極まりない。コロナ禍を機に、抜本的に再開発の方向性を考え直すべきだ」

 条例案に賛成する立憲・無所属フォーラム、共産、無所属の議員も「市長は市民の皆さまの意見を聞いた上で方向性を決めると言っていた。いつどこで聞いたのか」「重大な公約違反だからリコール署名まで取り組まれた」と市長を追及。満席の傍聴席からは「ウソつき」「市民の合意できてないぞ」「住民自治が分かってない」「リコールの9万筆もあるぞ」とヤジが飛び、「市民の声を聞け」「自公の横暴糾弾」の横断幕を掲げて立ち上がった市民ら計10人が不当にも退場させられた。

 否決後の市役所前集会には200人が参加。直接請求した「カジノの是非を決める横浜市民の会」共同代表の小林節さんは「次の市長選挙でわれわれの仲間を立てよう。つまらんことで争わずに、自公に学んで絶対の団結で勝って、カジノに頼らず文化都市横浜を立て直していく責任がわれわれにある」と呼びかけた。

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