2021年01月29日 1659号

【議会を変える 届かないコロナ支援策 京都府向日(むこう)市議 杉谷伸夫】

 昨年末の向日市議会で私は、4月以降の新型コロナウイルス感染症対策予算の個別の執行状況の提出を求めた。その中で特に目についたものが2つあった。国民健康保険(国保)加入者への新型コロナ感染症の傷病手当金の執行実績がゼロであること。また、国や京都府の支援を受けられない個人事業主への一律10万円の支援金は予定1千件に対し執行は1割にも満たないことだ。いったいどういうことか。

 他の被用者健康保険と違って自治体が運営する国保には、傷病手当金が制度化されていなかった。今回国は新型コロナ感染症に限定して収入の3分の2の傷病手当金を支給できるよう、全額国費で市町村に補助することにした。向日市の国保には市民の約2割が加入している。向日市の新型コロナ感染者は100人に迫る状況だったのに1人も支給されていないのだ。原因を問うと「向日市には、誰が感染したかの情報は一切入ってこないのでわからない」と。肝心の対象者に支援情報が届いていない。

 個人事業主への支援金制度は、収入の増減にかかわらず無差別一律に給付するという謳(うた)い文句だったが、ふたをあけてみると「事業収入が主たる収入源」であることを示す書類(前年度の確定申告書等)の提出が求められたため、申請できなかった方が多数いた。細々と個人事業やフリーの仕事で生計の補助を得ている方は、確定申告していない人も多い。最も困っている人々が支援から漏れている。そもそも制度自体の周知が行き渡らず、知らない方が多い。

 先日「杉谷さんとともにまちを創る会」の新年例会を開き、昨年の振り返りをおこなった。4−5月には緊急事態宣言で公共施設が閉鎖され、毎月の例会も開けなくなってしまった。苦肉の策としてZoomでのリモート形式で例会やミーティングを継続した。そんな中で、新型コロナ市民アンケートをネットも活用しておこなった結果、全面休校で不安が広がる子育て世代の声を多く聞き、一緒に市長や教育委員会への申し入れをおこなってきたことは、貴重な経験だった。

 コロナ感染の拡大と緊急事態宣言発令で、多くの市民が様々な困難に直面する。新年例会では意見交流の後、こうした市民実態にアンテナを張り、予算議会前の2月定例会のテーマとして取り組もうと決めた。「市民の声を出発点に」今年もがんばるぞ!
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