2021年01月29日 1659号

【みるよむ(573) 2021年1月16日配信イラク平和テレビ局in Japan イラクの非正規労働者は常勤雇用を要求する】

 イラクの首都バグダッドでは、電力産業の技術者たちが常勤雇用を要求して座り込みとデモを数か月にわたって続けている。2020年10月、サナテレビは闘いの現場に取材に入り、インタビューした。

 電力省の入り口前に技術者たちがテントを立て座り込みを続けている。デモの横断幕には「契約技術者と時間給技術者を常勤雇用に転換しろ」とある。

 抗議行動主催者の一人バラ・オマールさんが答える。彼はムスタンシリア大学工学部電気科卒業。共に闘うのは米国資本のゼネラル・エレクトリック社などで働いてき大卒の技術者らだ。だが、契約労働者や時間給技術者なので簡単に首を切られてしまう。

 一方、電力不足でひんぱんに停電が起こる。夏の真っ盛りにエアコンが止まり、市民の抗議デモが続発している。電力関係の技術者は大量に必要だ。この闘いは、雇用確保の闘いであるとともに人びとの命と暮らしを守る社会的意義が大きい。

 デモには、政府の様々な妨害や嫌がらせをはね返し、学校の講師や医学部・経営学部の卒業生など仕事を奪われている労働者の参加も増えている。

◎4人から始めた闘い

 ビラールさんたちの闘いは4人から始まった。最初のデモで15人に増え、そして何百人ものデモとなっている。「ナシリア、バグダッド、バスラ、モスルなど全国の州から座り込みに参加している」と言う。政府への怒りで軍隊や警察にぶつかろうとする人もいるが、冷静に押さえる。「軍隊や警察と衝突はしません。彼らは私たちの兄弟なのです。平和的な手段によって運動を高めていきます」と語る。長期間の闘いを組織してきた確信が伝わってくる。
 イラク電力省の非正規労働者は、崩壊した電力システム再建と常勤雇用を要求してカディミ政権を追い詰めている。日本からも連帯していきたい。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)

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