2021年02月05日 1660号

【1660号主張 感染拡大止めず人権侵害 特措法・感染症法改悪許すな】

危険な罰則導入

 1月22日、新型コロナウイルス特別措置法・感染症法などの改悪案が閣議決定された。政府は2月初旬にも成立強行を狙う。

 特措法改悪案は、事業者に時短営業や休業を「命令」でき、従わない場合には50万円以下の過料を科す。科学的根拠も真摯(しんし)な論議もなく危機感を煽って作られた悪法にさらに罰則を付与する。感染症法では、入院や調査を拒否した場合に懲役・罰金を科し、病床確保などの勧告に応じない病院を公表する。PCR検査拡大、医療拡充をしないまま、懲役刑まで導入し権力の恣意的な判断で強制と人権侵害を行おうとしているのだ。罰則や差別を恐れる感染者が潜在化しかねず、感染拡大も止められない。

狙いは強権国家

 この罰則付与は、菅政権の強権国家をめざす動きと連動する。マイナンバーや社会のデジタル化で市民を監視し、権力による私権制限に服従させ、政権への不満・批判を封じるのだ。

 休業要請に応じた事業者には「必要な財政上の措置を講じる」と謳(うた)うが、焼石に水≠フ限られた協力金で生きていけるわけがない。入院措置等で被る社会的不利益への補償もない。医療保護のない自宅待機が強いられ、多くの死者が出ているのが現状だ。

 日本弁護士連合会会長声明は「検査体制・医療提供体制を構築すること及び事業者への正当な補償こそが必要不可欠であって、安易な罰則の導入は必要ない」と指摘。法律家6団体も「コロナ失政の責任をうやむやにしたまま、感染拡大の責任を国民に転嫁し刑罰や過料を科す『改正案』には断固として反対」と表明した。

 危機を訴える市民・事業者・医療従事者らの切実な声を罰則で黙らせる改悪を断じて許してはならない。

今声上げる時

 命も生活も守らない菅政権への市民の不信は広がる一方だ。世論調査(1/25朝日)でも、政府のコロナ対応を「評価しない」は65%にのぼり、罰則には反対が多数。内閣支持率は33%に急落し、不支持が45%に増えた。菅を追い込む時だ。

 世論を背に市民の粘り強い要請が行われ、介護労働者へのPCR検査や県・市レベルの社会的検査が広がり始めている。深刻なコロナ休業・解雇に、政府は雇用調整助成金特例措置の再延長を余儀なくされた。

 地域で対話すれば、菅への怒りが噴出する。1月24日投開票の大阪・茨木市議選で、菅・維新政治NO、PCR検査拡大を訴えた「憲法いかそう茨木市民の会」山本候補の当選はそうした民意を受けたものだ。

 市民の声が確実に情勢を動かしつつある。今こそ、命とくらしを守るコロナ対策を自治体・政府に迫ろう。罰則を導入するコロナ特措法・感染症法の改悪を阻止しよう。

  (1月25日) 
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