2021年02月05日 1660号

【新型コロナウイルス関連法の「改正案」に反対する法律家団体の声明(要旨)】

「改正案」の問題点

(1)感染症対策のために罰則を振りかざして国民に服従を強いたり、患者を「犯罪者扱い」することは、国民の間に相互監視や密告のような行為を奨励し、差別を助長することになる。感染状況をかえって潜在化させ、感染症対策にとって逆効果となる恐れがある。

(2)入院拒否等に刑罰を科す立法事実が示されていない。現実には入院したくても入院先が確保できないまま、宿泊療養施設や自宅で死亡するケースすら発生している。政府が行うべきは、入院や治療が必要な人すべてに医療を提供できる環境を作ることである。

(3)保健所等による行動履歴等の調査に応じない者に対する刑罰も、個人情報の保護や差別の禁止など安心して調査に応じられる環境が整えられなければ、感染自体を隠さざるを得ない人が増え、感染状況を潜在化させるだけである。

(4)「まん延防止等重点措置」の実体的要件は内閣総理大臣の判断に全面的に委ねられる仕組みとなっており、人権侵害の危険が大きい。休業・時短命令などの違反に対する罰則(過料)を科す「改正」についても、立法事実が果たしてあるのか、疑問である。

より根本的な諸問題

 ▽緊急事態宣言発出要件があいまいで、内閣総理大臣に丸投げされている。▽国会での調査・審議の仕組みが全く欠けている。▽住民に対する私権の制限が「必要最小限」であるか疑わしい。▽事業者への補償がきわめて不十分。

結語

 これまでのコロナ失政の責任をうやむやにしたまま、感染拡大の責任を国民に転嫁し、刑罰や過料を科すような政府「改正案」には断固として反対である。

 (改憲問題対策法律家6団体連絡会/2021年1月20日)
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