2021年02月05日 1660号

【沖縄宮古島/市長選 オール沖縄が勝利/自衛隊配備反対が民意/辺野古でも新基地建設阻止行動続く】

 任期満了に伴う宮古島市長選挙と同市議会議員補欠選挙が1月17日投開票され、市長には、保守系無所属で玉城デニー知事ら県政与党「オール沖縄会議」推薦の座喜味(ざきみ)一幸候補が1万5757票を獲得し、現職3期の下地敏彦前市長を破って初当選した。また市議補選では、弾薬庫建設が進む保良(ぼら)区から立候補し自衛隊基地建設反対を訴えた下地茜さんが当選を果たした。

自公維新政治に市民はNO

 下地前市長は、自民・公明両党が推薦し、菅政権が首相秘書官らを現地事務所に派遣。告示前には元防衛相の小野寺五典・党組織運動本部長も現地入りし、地方選としては異例の態勢を敷いた。さらに2019年以降駐屯する約700人の陸上自衛隊関係者をはじめ、航空自衛隊宮古島分屯地や、自衛隊退職者でつくる防衛協会の関係者など、4千人規模の自衛隊組織票にもかかわらず、座喜味候補は2782票差で当選した。

 「日本維新の会」系の沖縄県内政党「そうぞう」発祥地の地が宮古島で、維新政治の立場をとっていたのが下地市長だった。陸自配備を推進し、市民の声を聞こうともせず、辺野古埋め立ての是非を問う県民投票に敵対する立場を首長として最初に表明。「オール沖縄」に対抗する「チーム沖縄」の会長も務めていた。

 自衛隊配備問題は市長選の争点にならなかった≠ニする県内メディアの報道は誤りだ。小さな島で自衛隊基地の建設工事が随所で急進展していたことは誰もが意識せざるを得ない現状だった。市議補選では自衛隊配備反対を公約に掲げた下地茜さんが1万票を獲得しトップ当選だ。座喜味新市長は「市民の声を聞く」と配備推進の立場ではない。

 すでに野原にある航自レーダー基地のほかに千代田にミサイル部隊が新設され、保良の弾薬庫建設など地元部落の反対決議の声も聞こうともせず、強引に自衛隊基地建設が進められてきた。この12年間の下地市政に対して市民は明確に反対を突きつけたのだ。下地市政を後押しし続けた安倍・菅の自公政権NOを宮古島市民が選択した。

 2021年、沖縄では2月に浦添市長選・市議選、4月にうるま市長選、7月に那覇市議選。来年には県知事選へと続く選挙イヤーの幕開けに、座喜味市長と下地茜市議の誕生で貴重な春が訪れたと言える。

監視行動続ける市民

 新型コロナウイルス感染拡大を受けて1月19日、沖縄県は3度目となる県独自の緊急事態宣言を発出。「オール沖縄会議」は、新基地阻止の抗議が続く名護市辺野古のキャンプ・シュワブゲート前の行動も、1月20日から2月7日まで中止することを決定した。

 しかし、沖縄防衛局は緊急事態宣言下でも埋め立て工事を休止することなく、この間も連日200台を超えるダンプカーやコンクリートミキサー車を基地内に入構させている。市民の有志は、阻止行動はなくとも、工事の実態を把握するため入構車両台数の監視行動を継続している。宣言初日の20日も約20人の市民が朝8時から夕方4時までの監視行動を貫徹した。入構するダンプやミキサー車に対し、マイクは使用せず地声で距離をとって抗議する。

 ところが1月21日、キャンプ・シュワブ内で米兵43人の感染が判明した。基地内には、ダンプの運転者や軍雇用員、沖縄防衛局職員、県警機動隊員、警備会社ソルテックの警備員そして陸自隊員など何千人もが出入りする。米兵らはジョギングなどでマスクも着用せずを自由に出入りしている。

 県が県民に「行動自粛」まで要請せざるを得ない事態の中、シュワブはもちろん全在沖米軍基地のゲートを閉鎖し、活動を停止させることが必要だ。政府に対し、直ちに辺野古新基地建設工事を中止するよう国会などあらゆる場で追及しなければならない。  (N)



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