2021年02月05日 1660号

【法人は業務委託の実態を是正し不当解雇を撤回せよ 都労委、裁判提訴で闘う】

 一人はみんなのために みんなは一人のために≠掲げ争議や相談活動に取り組む首都圏なかまユニオン。社会福祉法人による根拠なき懲戒解雇の撤回を求めて闘う首都圏なかまユニオンの組合員から報告と支援の呼びかけが寄せられた。

 私は、東京都内の法人に2015年2月9日に正社員採用され、同日付で区役所に出向とされ、以降5年間、相談員として仕事をしてきました。しかし、全く根拠のない口実で2020年6月22日に懲戒解雇され、現在、東京都労働委員会と東京地方裁判所に提訴し闘っています。

 区で働いていた時は、経営者による長年にわたる不正を訴え、「全従業員への未払い残業代支払い」「公金のピンハネ防止」「自立相談支援の向上」を求めて職場での取り組みを開始。首都圏なかまユニオンに加入してからは、団体交渉を通じて改善を求めてきました。

声上げたことへの報復

 残業代未払い問題では、2019年12月労働基準監督署より法人に対して是正勧告が出され、私に対しては払われましたが、区からも求められた他の従業員への支払いは現在も行なわれていません。それどころか法人は、出勤停止と配転によって、私を区の職場から切り離し、相談員としての業務も奪い、団体交渉も拒否し続けました。組合として、団交拒否と不利益取り扱いを都労委に提訴しましたが、法人はさらに配転と根拠のない「注意書」発出などを積み重ねた上、懲戒解雇まで行ってきたため、都労委への追加申立と裁判提訴に踏み切りました。

 離職率が異常に高いこの法人では、ワンマン経営者に対し誰も意見を言えない状況にあり、職場で改善を求めたのは私だけでした。孤立する職場で3年間、たった1人で活動を続けました。そのことを煙たく思った経営者に睨(にら)まれたことが、突然の不自然で不当な懲戒解雇をされた真の原因です。

 法人は、複数の自治体から業務委託を受けていますが、賃金支払いの実態から委託費が中抜きされていると考えています。こうした業務委託の実態を是正し、不当解雇の撤回を求め、首都圏なかまユニオンと共に裁判、労働委員会、団体交渉で闘っています。

労働者の尊厳回復を

 ユニオンとの出会いには、重なる偶然がありました。10年以上前に私が東京で通訳ボランティアをした市民団体にも組合員が関わっていたことを後で知りました。家族と休日に街を歩いていた時に呼びかけられ、共感した市民運動でのイベントに家族と共に参加すると、そこでも組合員の方々が担い手になっていました。以前に市バスで乳母車を押す妻子を介助してくれた通りすがりの女性ともそのイベント会場で出会いました。

 私は、首都圏なかまユニオンでの活動を通じて、加入組合員だけでなく、あくまでも心身共に傷つけられた当該労働者の尊厳の回復など、心に寄り添う伴走型支援も進めていると感じています。不当な解雇など被害を受けた労働者は、誰もが経済的困窮だけでなく、家族のもつ不安までも抱え、不本意ながら「あきらめさせられる」ことも多くあります。私はどんな被害を受けても、多くの労働者の人生をもてあそんできた経営者のやり方は拒否します。

 「従業員は、例え違法でも、上司の命令に従え」という前近代的な経営では、労働者だけでなく、関係する市民さえもないがしろにされてしまいます。労働者の権利が保障され、住民へのサービスが向上する職場になることを求めています。

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 東京地裁での第1回裁判は1月27日、東京都労委での次回調査は2月17日10時半となっています。引き続き、みなさんのご支援をよろしくお願いします。

 
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