2021年02月12日 1661号

【18の政策とは/第2回/平和と核軍縮(1)/戦争法を廃止し海外派兵を中止する/資本の権益拡大支援海外基地】

 「憲法の平和主義」破壊に自民党が固執するのは、グローバル資本が目指す権益確保・拡大の後ろ盾として世界中で軍事力を利用したいからだ。

 2013年、アルジェリアで天然ガス精製プラントが武装勢力に襲われ20数人が殺害された。日本人10人(世界有数のプラント会社日揮の関係者)が含まれていた。このような事態にも、日本の海外権益を守ることができるよう海外での軍事行動の自由を手にしたいのだ。18年現在の日本の海外直接投資は1兆6652億ドル。さらなる投資拡大の機をうかがっている。

駐留拠点を確保

 09年、安倍前政権は「海賊対処」を名目にアフリカ北東部のアデン湾に自衛隊を派遣した。

 当初「海上警備行動」として、海上自衛隊を向かわせた。「海上警備行動」は海上保安庁の対応能力を超える事態に自衛隊が出動し対応するためのもの。地球の裏側に自衛艦を派遣するには無理がある。そこで、安倍は「海賊対処法」をあとづけで作った。

 安倍は海賊を利用し、自らの戦争政策を推し進めた。11年、アフリカ北東部のジブチ共和国で土地を賃借し47億円をかけて司令部庁舎・隊舎・P3C哨戒機駐機場などを建設。ジブチ国内法を自衛隊に適用しないことなどを定めた地位協定を締結した。

 派兵の口実となった海賊の被害は、11年の年間237件をピークに減少し、19年には0件。本来即時撤収すべきところ、そのまま居座り、海外恒久基地を手に入れた。海外に軍事基地を保有する国は米・英・仏・ロ・中の5か国だったが、日本は、ついに常時海外派兵国の仲間入りをした。

 駐留を始めた自衛隊は、UAE(アラブ首長国連邦)やオマーンなど周辺諸国にも補給拠点を広げ、活動領域をペルシャ湾全体へ拡大した。自衛隊駐屯地周辺には、フランス軍基地やアフリカ唯一の米軍基地も存在する。市民の目も届かない地で、自衛隊は他国軍隊との「情報共有」や「連携」など実質的な軍事行動を共にしている。

 防衛省幹部は15年、「積極的平和主義に基づけば、自衛隊が海外に唯一持つ拠点を生かす方策を掲げるのは当然だ。米国やNATOとの連携、テロ情報の共有といった観点からも拠点の多目的化は有益だ」と述べている。「あらかじめ陸自の軽装甲車を配備し、陸路で邦人救出」「海賊対処として常駐する哨戒機を、中東有事の際には警戒監視任務に就かせる」など、自衛隊ジブチ駐留を企業活動の後ろ盾にしようとの思惑があけすけに語られだした。戦争法を安倍が強行したのもこの15年だった。

 政変による日本企業の既得権益はく奪、現地住民との対立先鋭化、武装勢力による襲撃など海外でどん欲に利潤をむさぼるグローバル資本に心配の種は尽きない。だから、戦争政策を必要としているのだ。《続く》
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