2021年02月12日 1661号

【「合意はない」と菅首相は言うが…/オスプレイ隠ぺいの「前科」】

 沖縄・辺野古への自衛隊常駐を菅首相は国会答弁で完全否定した。将来的な配備の可能性も否定した。しかし、この種の政府説明が後になって覆されるケースは過去に何度もあった。その典型例がオスプレイの沖縄配備計画である。

 米兵による少女暴行事件を契機に、普天間飛行場の「移設」が持ち上がった96年の段階で、オスプレイの沖縄配備は日米両政府の間で「既定路線」だった。事実、米側は具体的な時期を含めた配備計画をおおやけに発信し続けた。

 しかし、日本政府の関係閣僚は「米側から連絡はない」「配備されるとは聞いていない」ととぼけてきた。官房長官時代の菅もその一人。「具体的なことについてコメントは差し控えたい」という得意のフレーズでかわし続けてきた。

 実は、オスプレイの配備計画を明らかにしないように、日本政府が米側に要請していたことが明らかになっている。その隠蔽体質は在日米軍高官が「早急に公表されることを望む」とあきれたほどだった。

 問題の陸上自衛隊「水陸機動団」については、在日米海兵隊のニコルソン司令官が「沖縄への配備が望ましい」「非常に期待している」と述べている(2017年11月)。他の米軍高官も同種の発言をしている。オスプレイの時と同じで、日本政府の側が必死に隠そうとしているとみてよい。

 岸信夫防衛相は1月27日、陸自と米海兵隊が調整して水陸機動団用施設の設計図案を作成していたことを事実上認めた。ただし、辺野古常駐合意については「さまざまなやりとり等があったかもしれないが、正式な合意事項ではなく、政府としての合意事項でもない」とごまかした。実兄の安倍晋三前首相ほどには、ぬけぬけと嘘をつくことがうまくないようだ。  (O)
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