2021年02月19日 1662号

【1662号主張 罰則も緊急事態宣言もNO/直ちに社会的検査を補償を】

人権侵害許すな

 菅政権は2月2日に緊急事態宣言延長を決定し、翌3日には新型コロナウイルス特別措置法・感染症法等に罰則規定を追加する改悪を強行した。人権を侵害し、感染症対策とはならない。断固抗議し撤回を求める。

 特措法改悪は、コロナ禍で苦境に立つ事業者らを一層窮地に追い込む。休業や時短要請に従わない事業者に過料を科し、「支援」とは記すが損失への補償ではない。また、その恣意性が追及された新設の「まん延防止等重点措置」も時短等要請が罰則付きとなった。

 感染症法改悪により入院や疫学調査の要請に応じない患者に過料を科すことは、ハンセン病をはじめとする感染症差別の歴史的反省を踏まえず、新型コロナ患者への差別を助長する。入院できず自宅で死亡する患者が続出する中で、自宅療養要請を法的に位置付けたのは、医療体制整備を放棄し無症状・軽症患者を見捨てると宣言したに等しい。断じて許されない。

接種強制は許されない

 菅首相はワクチンが「感染対策の決め手」と承認・接種開始を急ぐが、安全性・実効性の科学的検証は十分ではない。政府が配付予定のワクチンはデータ開示が不十分で効果や副反応も不明な点が多い。日本感染症学会ワクチン委員会も、ファイザー製ワクチンについて、現時点では重症化予防効果や免疫持続性効果、75歳以上の高齢者に対する効果は不明と指摘する。科学的検証が不十分である以上、市民はもとより医療従事者などへのワクチン接種の強制・強要はあってはならない。大規模検査・保護・医療拡充こそ緊急かつ必須の感染防止対策だ。

 検査拡大を求める運動・世論の力で、潮目は変わりつつある。政府の改定基本的対処方針(2/2)でも、高齢者施設従事者等に対する検査の集中実施や定期的実施、希望により受ける民間検査の環境整備、歓楽街等での幅広いPCR検査(モニタリング検査)実施などが盛り込まれた。

命と暮らしを守る予算を

 直ちに検査・医療・補償への財政支出が必要だ。

 21年度政府予算案は、社会保障費の自然増分4800億円を3300億円も削減、病床削減支援に195億円など感染症対策に全く逆行する。コロナ対策予備費に5兆円計上と言うが、第3次補正予算予備費では1・9兆円も減額補正され、今も未執行3・8兆円だ。執行される保証はない。

 コロナ失策批判に加え、菅首相長男の官僚接待、五輪組織委森会長の差別発言問題などが続き、内閣は足元から揺らぐ。菅を追いつめ、政策転換を求めるときだ。危機に便乗した大企業のための支出や過去最大の軍事費など21予算案を組み替え、命と暮らしを守る予算の編成、執行を政府・自治体に迫ろう。

  (2月7日) 
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