2021年02月19日 1662号

【普天間「代替」のうそがあらわに 辺野古自衛隊常駐合意 日米共同の出撃基地化にNO】

 辺野古自衛隊常駐合意問題(前号8面既報)が、沖縄を揺るがしている。

 沖縄タイムスと共同通信がスクープ(1/25)した、陸上自衛隊トップの陸幕長と在沖米軍トップの4軍調整官が2015年に米軍キャンプ・シュワブに陸自の「水陸機動団」を常駐させることで極秘合意していた問題だ。「辺野古新基地は普天間基地の代替施設」という政府説明が成り立たないことがはっきりした。

オール沖縄会議が抗議

 政府・防衛省は火消しに躍起となっているが、岸信夫防衛相は国会答弁で、陸自と米海兵隊が調整し作成していた設計図案の存在について「そういう形での図があった」と認めた。「すでに凍結した話だ」と政府が否定しても、折を見て発言を撤回して追認、強行するのは、これまでも繰り返されてきた防衛省の常套手段。オスプレイ配備しかり、軟弱地盤の存在や、辺野古新基地に追加される軍港機能しかり。沖縄県は「(政府の説明を)うのみにする県民はいない」(県幹部、1/26琉球新報)と警戒を強める。

 1月27日、「オール沖縄会議」は沖縄防衛局に抗議。沖縄平和運動センターの山城博治議長は「オスプレイの時もそんな計画はないと言っていた。(計画を)有していないで済む問題ではない」と対応を批判した。県選出野党国会議員でつくる「うりずんの会」も同日、防衛省を訪れ「水陸機動団常駐の極秘合意」の撤回と徹底調査を求めた。赤嶺政賢衆院議員は「沖縄の基地配備は、常に報道が先行し、政府が否定し、報道の通りになっている」と指摘した。

裏付けられた自衛隊使用

 辺野古ゲート前のテント村では、県独自の緊急事態宣言を受けて抗議行動を中止している。現地で監視活動を続けている沖縄平和市民連絡会の上間芳子さんに話を聞いた。「確かな根拠はなかったが、私は今まで『辺野古新基地は自衛隊が使用する』とゲート前でも話していた。人の配置とお金の使い方を見ていて、あれだけの警備員を雇い県警の幹部が連日来ていることから、米軍のためというより、国のために進めているとしか思えなかった。だから、辺野古は自衛隊も使用するという話が裏付けられたと思っている」

 続けて上間さんは「辺野古が日米共有となったら、キャンプ・シュワブもキャンプ・ハンセンも自衛隊との共同使用になる。米軍専有施設の率(全国比)は現在の70%から50%になり、沖縄の基地負担は減りましたよ≠ニいう話になってくる。沖縄だけの問題ではない。横田も岩国もみな米軍と自衛隊が共同使用。自衛隊常駐に反対しないと、沖縄の米軍は永久になくならない」と怒る。

琉球弧の要塞化に警戒

 辺野古とともに、宮古島や石垣島の自衛隊基地建設工事を監視する沖縄ドローンプロジェクトの奥間政則さんも話す。「奄美、宮古、石垣、与那国と自衛隊基地建設がすすむ南西諸島の日米軍事一体化の一環だと思う。ちょうど今、キャンプ・ハンセンで日米共同訓練が行われている。現実はこれだ。さらに東村・高江に新しいヘリパッドが建設されようとしている。自衛隊問題に、県政も与党も立場を明確にしないといけない時期にきている」と琉球弧で急速に進む軍事要塞化に警戒感を示した。

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 2013年10月、那覇市での自民党県連主催の講演会で、中谷元(げん)元防衛大臣が「辺野古は、将来は自衛隊の基地をめざしている」と語っていたことを改めて思い出した。

 辺野古新基地は「普天間基地の代替施設」などではない。自衛隊と米軍による海外派兵のための最新鋭の出撃拠点基地を日米両政府はめざしている。新基地建設をなんとしても阻止しなければならない。 (N)



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