2021年02月26日 1663号

【1663号主張 今 菅政権追いつめるとき 五輪でなくコロナ対策だ】

森辞任は民主主義の勝利

 2月12日、五輪組織委森会長はむき出しの女性差別への批判の前に辞任表明した。15万筆を超えた辞任要求署名など内外の市民の怒りに追い詰められた森辞任は、民主主義の勝利だ。

 醜い姿をさらけ出しているのは森だけではない。菅首相は、日本学術会議人事には公然と介入した一方で「組織委で人事は決める」と森を擁護。後に白紙となった密室の後任指名にも安倍前首相とともに関わっていたことが暴かれた。国会では、長男の違法官僚接待をはじめ腐敗ぶりが追及されている。人権・民主主義否定、権力私物化の菅政権を追いつめるときだ。

変えるべきは政策だ

 問題は会長人事ではない。変えるべきは五輪優先に示される根本的政治姿勢だ。

 世界的なコロナ感染拡大下の五輪開催強行は、選手や関係者、市民の命を危険にさらし、医療崩壊の現状を深刻化させる。

 それだけではない。五輪はスポンサー企業、国際的メディア資本、ゼネコンらだけを潤す巨大ビジネスだ。IOC(国際オリンピック委員会)は収益の73%を放送局、18%をスポンサー企業から得ており、カネ至上の商業路線をひた走っている。五輪経費も一昨年末に会計検査院が総額3兆円超と指摘したが、延期で膨らみ市民負担は一層増える。

 世論調査でも中止・再延期は計6〜8割以上。命を軽視しカネにまみれた五輪は中止し、政府挙げてコロナ対策に集中すべきだ。

 菅はワクチンを「感染対策の決め手」と称して「ワクチン接種で国民の雰囲気も変わる」と五輪開催に固執する。しかし、ワクチンの安全性・実効性の科学的検証は十分でなく、強制は許されない。市民の命とくらしを優先し、五輪・軍事・巨大開発ではなく、何より必要な大規模社会的検査や医療拡充、補償へ大胆に財政支出する政策転換こそさせなければならない。

闘えば変えられる

 新規陽性者数は減少傾向だが、入院は4割にすぎず、入院もできず自宅待機で死亡する惨状は変わっていない。検査・医療体制拡充を怠り感染拡大と医療崩壊を引き起こした政府の責任は重大だ。今、市民が声を上げなければ、無策は放置され事態はさらに悪化する。

 2月10日、ZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)は、厚生労働省等にコロナ対策徹底を求める要請行動を行なった。PCR検査対象に高齢者施設だけでなく「障がい者施設、通所・訪問・小規模施設も対象」と認めさせ、ワクチン接種の本人同意の徹底なども確認させた。

 闘えば変えられる。広島市や栃木・那須塩原市のような無症状者も含めた検査の徹底拡大、医療拡充、ワクチン強制反対、解雇禁止、生活保障を政府・自治体に迫ろう。

  (2月14日) 
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