2021年02月26日 1663号

【MDS18の政策とは/第2回/平和と核軍縮(3)/戦争法を廃止し海外派兵を中止する/安倍・菅は軍事大国化一直線】

 前回示したジブチ共和国での自衛隊基地確保や南スーダン戦地派兵は、中東から日本への海上輸送路を確保し、アフリカ市場に食い込むためだ。背後には、日米欧グローバル資本と中国との経済競争がある。

 中国は今や世界経済の主役として登場している。世界経済を牛耳ってきた日米欧のグローバル資本にとって、中国の急成長は脅威となっている。その中国の経済戦略の柱が「一帯一路」だ。中国〜中央アジア〜西アジア〜アフリカ・欧州に至る経済圏を、旧来のシルクロードに加え、東シナ海〜インド洋〜ペルシャ湾・紅海に至る「海のシルクロード」で結ぶという。

 「一帯一路」戦略の下で、中国は南シナ海に軍事拠点を次々と作ってきた。日本政府が言う「中国の海洋進出」だ。同時に沿岸諸国への投資と引き換えに港湾など物流拠点を整備してきた。

 これに対抗するためアジア・欧米のグローバル資本主義国は「自由で開かれたインド・太平洋戦略」を掲げる。「自由で開かれたインド太平洋を介してアジアとアフリカの『連結性』を向上させ,地域全体の安定と繁栄を促進する」(外務省)とし、各国経済圏の取り込みを狙う。

 日米韓の「航行の自由作戦」、インド洋でのNATO(北大西洋条約機構)諸国・日・豪・韓の共同軍事演習などでもたらされる軍事的緊張は、「一帯一路」と「自由で開かれたインド・太平洋戦略」による権益争奪戦の軍事的側面だ。好戦勢力は「外敵から国土を守るため」と言うが、その本質は「カネもうけ」に他ならない。

侵略兵器を爆買い

 中国に対抗する軍事同盟強化のため、安倍首相(当時)「武器輸出三原則」を反故(ほご)にし、東南アジア諸国に武器を供し始めた。日・米・印・豪4か国による「セキュリティーダイヤモンド構想」を発表し、地域の対中軍事同盟強化をはかった。対印原子力協力も大きくは「開かれたインド・太平洋戦略」の下にある。

 第2次安倍内閣は、毎年軍事費を増加させ、2014年以降は過去最大を更新した。菅内閣の21年度予算案でも同様だ。コロナ禍にあっても9年連続軍事費増・7年連続過去最大を更新した。朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の核、中国の軍備増強を口実として、「ミサイル防衛・島嶼(とうしょ)防衛」などの名目で米国製侵略兵器を爆買いし、グローバル資本主義諸国間の軍事同盟強化を狙う。

 戦争法によって法制上、海外派兵・武力行使のフリーハンドを得、侵略兵器の整備で自衛隊を名実ともに戦争できる軍隊≠ノ変容させた。そして、軍事同盟を経済侵略の安全装置として使用する。「カネもうけのための武力」が安倍・菅が言う「安全保障」のだ。だが、軍事的緊張をもたらす戦争政策は市民の安全には有害無益だ。《続く》
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