2021年02月26日 1663号

【議会を変える 東京都日野市議 有賀精一 市政から見たオリンピックと森差別発言】

 東京オリンピック・パラリンピック(以下オリ・パラ)は開催されるのでしょうか。

 新型コロナウイルス感染症により1年延期となりましたが、第3波が昨年末から猛威を振るい年明けには緊急事態宣言となり、医療崩壊が現実となってしまいました。新規陽性者数が減少しているとはいえ、オリ・パラは他国からの相当数の選手を含む派遣団を受け入れることになり、医療スタッフもそれに対応する必要があります。もし、感染拡大がオリンピック直前や開催中に起これば、現場は大混乱の状況となるでしょう。

 2月8日に公表された読売新聞によるオリ・パラの開催を問う世論調査でさえ、「再び延期する」33%、「中止する」28%と合わせて60%を超えています。再延期はないとも言われており、開催に向けた世論はしぼみつつあるといったところでしょう。

 オリ・パラには多くの自治体が関わっています。ホストタウンという言葉をご存知ですか。参加国・地域の選手らとの交流などを担う自治体のことです。全国何百もの自治体がホストタウンになっています。わが町日野市も2年ほど前からウクライナのホストタウンです。文化交流イベントの開催やウクライナ空手チームの事前キャンプ、国際大会応援、ウクライナ出身でチェルノブイリ原発事故の被災者であるバンドゥ―ラ(民族楽器)奏者カテリーナさんの演奏会などもありました。

 さて開催するかどうかという局面で、飛び出したのがオリ・パラ組織委員会森喜朗会長の女性差別発言。国内問題ばかりか国際問題化しました。森氏は「日本は天皇を中心とした神の国」発言で有名ですが、森会長の後継指名を受け一時会長候補に浮上した川淵三郎氏も百田尚樹氏の『日本国紀』を「傑作」と絶賛している人物。森氏も安倍晋三前首相が要請し会長に就いたのだそうです。

 市内でオリ・パラ関連の事業や催しに関わっている市民や職員の皆さんも、今回の女性差別発言を始めとした一連のドタバタ劇にはもういい加減にしてくれ、というのが本音だと思います。

 最悪の出来事でしたが、日本という国の遅れたありようを可視化することにもなりました。オリ・パラ関連も含め今ある市政の中から女性差別をなくし、性の多様性を認める人権尊重の社会をめざす取り組みを根付かせていこうとの思いを新たにしています。
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