2021年02月26日 1663号

【ZENKO中央要請行動 新型コロナ対策徹底へ 厚労省などを追及 対象拡大を認めさせる】

 2月10日、ZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)が呼びかけた新型コロナウイルス対策の徹底を求める中央要請行動が行われた。各地からのPCR検査拡大等の緊急署名1800筆を内閣府に提出。福島みずほ事務所を窓口に参院議員会館で約4時間にわたって厚生労働省、文部科学省、内閣府を追及し、回答を迫った。交渉は北海道から沖縄までオンラインで結ばれ、60人が現場からの声を突きつけた。

ワクチン強制させない 小規模事業所等の定期検査容認回答も

 厚生労働省に対しては、コロナ対策として▽PCR検査は医師の判断を必要としない基準とする▽医療・介護従事者などへの定期的検査、高齢者施設等への一斉検査、社会的検査を国の責任で実施する▽検査や医療体制整備に必要な財源は全額国庫負担とする▽ワクチン接種を義務化せず社会的な強制圧力を生じさせない―などを求めた。

 冒頭、要請に参加した福島みずほ参院議員が「ワクチンの強制は良くない。接種の有無を聞くことも問題だ」と本人同意の重要性を提起。厚労省側は「あくまで接種は本人の同意。希望されない方が差別を受けたり不利益を被ることのないよう周知する」と応じた。

 だが、続く回答は「検査基準は『診療の手引き』に基づき医師が必要と認めた方」「(一斉検査は)地域の感染状況で自治体が判断」「(社会的検査は)無症状者への検査後、陽性になるなど不透明で感染症対策としては不十分」「地域医療構想は枠組みは維持」。従来の立場の繰り返しと自治体丸投げばかりだ。

 参加者から「医療・高齢者施設等の中に小規模事業所、障がい、通所、訪問などの事業所も含まれるべき」「入所者が感染したが入院できず、施設の中で感染防護して介護する状況でとても不安だ。入所者、障がい者施設の利用者の方が入れる専門施設の確保を」「自治体任せで地域偏差を生んでいる。国の公衆衛生の責任放棄だ」「社会的検査の否定は、無症状者含めた一斉検査の通知と矛盾」と現場実態を突きつけた。

 こうした追及にも、厚労省側は同様の回答に終始。その中でも、「どこを行政検査の対象にするのかというのは自治体の判断。施設については限定していない」として実質的に障がい者施設、通所、訪問の小規模施設も対象になることを認めさせた。また、「2年間で感染症対応の保健師900人、現状の1・5倍の増員を行うなどこれを機に体制整備に努める」とも表明させた。

医療従事者の待遇改善を 財源明示し実施を求める

 コロナ禍で、医療従事者は不眠不休の状況が1年以上も続いているにもかかわらず、医療機関の経営悪化で労働条件は悪化の一途だ。

 一方、11月には人事院が規則を改正。昨年春の緊急事態宣言期間中、空港等で新型コロナに感染した入国者の移送などに従事した国家公務員に対し、特殊勤務手当(1人1日4千円)の支給が決まった。ZENKOの試算では、全国の医療従事者全員に同じ内容の手当を支給しても財源は年1・9兆円。月に25日従事すれば、医療従事者1人120万円の年収アップになる。「こうした手当は民間医療従事者にこそ支給されるべき」と、医療を崩壊から守るため必要な財源額も明示し実施を求めた。

 厚労省は「民間医療機関従業員の待遇は労使関係の中で決まるもの」と建前論を述べたが、「原発労働者の危険手当のように国が財源措置をしているものもある」と迫ると「保健師には21年度予算で増員を実施予定」。政策転換させていく一端が明らかになった。

実態調べよ 休業支援改善迫る 貸与型奨学金の転換を

 コロナ禍での雇用問題を巡っては、なかまユニオンなどからとりわけ非正規労働者への対策「目詰まり」の原因が追及された。

 「休業支援金」活用の停滞理由を、厚労省は制度の不備ではなく「周知の不徹底」とする。「企業の休業証明がなくても個人で申請できるので企業とのトラブルは避けられるはず」と言うが、企業が労働者に制度説明せず休業証明にも非協力の姿勢の中で、労働局から企業に問い合わせや調査が入ることへの報復を恐れて申請を自粛する実態が挙げられた。雇用契約書、給料振込み等の個人申告での支給実施を求めた。数万円でも企業から手当の名目で受け取った場合は申請ができない、休業手当金と休業支援金の差額の返還を求められるなど、不十分な制度を指摘。また、「休業手当」は過去6か月の労働日の平均賃金の8割への改善と4月以降の雇用調整助成金制度の延長を求めた。

 厚労省は運用の実態調査を行っておらず、各制度の改善点が見えてない。現場相談から問題点をつかんでいるユニオンの声を聴くよう求められ、意見交換の場を持つことを約束させた。

 雇用悪化に伴い奨学金返済が大きな負担になっている中、貸与型奨学金の抜本的転換を求めた。内閣官房就職氷河期世代支援推進室は「氷河期世代」の実態調査は承諾しなかったが、負担軽減対策の姿勢は見せた。



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