2021年03月05日 1664号

【コロナ禍 戸別訪問に寄せられる「もし感染したら」「言っていかないと」/地域の思いと要求で社会を変える】

 新型コロナによる医療ひっ迫や生活困窮が深まる中、国や自治体の政策を変えることは命を守る最重要の闘いだ。感染防止を徹底して、地域の戸別訪問で市民の思いや声を聞き対話し、要求化を進めている取り組みを寄せてもらった。

出会いから怒りの声を広げる/大阪市

 2月7日、17人で8チームを組んで戸別訪問を行いました。いつものように訪問マニュアルの読み合わせと練習をして出発。今回は、訪問は初めてという参加者が4人もいて新鮮な雰囲気。ペアで私が約1時間回った一帯は、屋根が落ちて完全につぶれた家が3軒も野ざらしになり、長年行政も放置している状態でした。

 そのすぐ隣家の高齢の女性と話ができました。コロナ対策を求めて行政と交渉していること、広域行政一元化条例に反対していることを話したところ、「障がいを持つ息子と二人暮らしだが、息子のためにがんばらないといけない。息子が通っている作業所で同じグループにいる通所者の親がコロナ陽性になった。もしも自分の息子に感染していたら、と2日間とても心配した。すぐ近くの障がい者入所施設は、職員のPCR検査は無料でできるようだが、作業所の職員は自費で検査に行っているそうだ」「職員も入所者も全員が検査できるようにしないと」と対話になりました。

 週刊MDSに紹介されているDSA(アメリカ民主主義的社会主義者)などアメリカ市民の闘いで1人20万円の給付を勝ち取ったことも伝えると「言っていかないとね」との声が返ってきました。他のペアでも、「一元化条例に反対」の声や維新に怒りを示す人、「ワクチンは打ちたくない。友人は打つというので話ができない。今日は話せてよかった」―。来月以降も会の通信を届けてよいと言う方が21人も増えました。

 訪問から戻っての報告・感想交流会では、初参加のスタッフから「一見立派な家の方が、維新に反対し署名もしてくれた」「都構想に反対の人も多かった」などの感想がありました。

 コロナ感染拡大以前から行政がもっと取り組まなければならないことがあったにもかかわらず、放置され、貧困や医療崩壊が深刻化しています。地域で出会いつながった人びととともに、怒りの声を広げていきたいと思います。

(平和と民主主義をともにつくる会・大阪 松尾孝子)

訪問はコロナ禍の社会を変える第一歩/西宮市

 2月14日、久しぶりに大人数での西宮市内の戸別訪問だった。訪問マニュアルを議論、事前の実演練習を2組が行い、和気あいあいとした雰囲気になったところで、14人で7チームをつくり訪問に出発。結果は187軒を訪問して54人の方と対話、14人の方がZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)兵庫の通信読者になってくれた。

 PCR検査拡大の署名やコロナ関連のアンケートを示して語っていくと「病院や介護の人はPCR検査しないとあかん。市のHPも見ている」との声。

 PCRの定期検査はしないと言っていた西宮市の姿勢を私たちの市への要請行動で変えてきた実践を語ると、「そうですよね。みんなの意見が大事」と言って、通信読者カードに電話番号を書いてくれた方もいた。

 妻を病気で突然に亡くした80代の男性は「園田競馬場で夫婦で売店を出していた。無観客のために店は休業になったが補償はないため、息子からの仕送りでなんとか生活している」と切々と語る。

 市内の公立病院の統廃合の動きに対しては「県立西宮病院は残してほしい」と複数の方から訴えがあった。ワクチン接種への不安の声も意外と多く、「ワクチンは実験やな」と言う方も。

 戸別訪問後の感想交流では、「インターホンでバッサリ断られるかと思っていたが、予想以上にドアを開けてくれ、少しでも話ができたことに感激した」「『コロナ対策の要望を聞いているんです』と言うと、『そんなこと言えるんやね』という反応が多く、語りかけて思いや願いを引き出すことの大切さを改めて感じた」との声も。

 戸別訪問を今後も継続していくことで、市民の要望を受け止め行政へ伝えていき、コロナ禍の社会を変える動きへつなげていける、との希望が感じられた訪問活動であった。

(ZENKO兵庫・三橋英子)

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