2021年03月05日 1664号

【避難者住宅追い出しに抗議や陳情 一人も路頭に迷わせない】

 福島原発事故から間もなく10年。福島県は、避難者の居住の安定どころか、国家公務員宿舎に住む区域外避難者に対し年末に1月中の退去、明け渡し提訴への移行を通知。実家に圧力をかけるなど、追い出しの強行に出ている。避難者支援団体は抗議するとともに、“一人も路頭に迷わせない“と避難者の住居確保に取り組んでいる。

 昨年3月に県から明け渡し提訴された2人を支援する「原発避難者の住宅追い出しを許さない会」は、2月7日に東京・江東区の国家公務員宿舎そばで弁護士講演会、14日には相談会を開き、追い出しが法律や国際法にも違反することを訴えた。「行き場がなく困っている。一人では怖いのでここに来てみた」「私たちは何も悪いことはしてない」。人権侵害に怒り「裁判も辞さない」と声を上げる当事者と交流を深めた。

 「原発事故避難者の住宅確保を支援する江東の会」は、避難者の多くが都営住宅入居を望んでいることを受けて東京都に対し、“住宅確保に向け『特段の配慮』を求める陳情署名”を620筆集めた。2月9日に都議に要請、16日には都議会都市整備委員会で審議された。少数否決されたが、共産党議員は避難者向けの新たな都営住宅の募集、世帯要件など条件の緩和を求めた。陳情者は「経済的、精神的事情で困っている方がいる事情は伝わったはず。今後は都にも要請したい」と語った。
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