2021年03月19日 1666号

【フィリピン/ 核兵器禁止条約批准/原爆も原発もいらない親子のつどい  3・27「平和な世界へ歩む旅」に参加を】

 フィリピンの上院は2月1日、全会一致で核兵器禁止条約の批准を承認。53番目の批准国となった。批准を実現した力は、1月22日の同条約発効に象徴される国際的な反核世論と粘り強い草の根の民衆の闘いだ。

 フィリピンでは、1981年に結成された非核フィリピン連合などが核兵器廃絶の運動を担ってきた。86年には独裁者マルコスを追い出し、87年に非核憲法を制定。51年以来駐留していた米軍が核兵器の存在を「否定も肯定もしない」ことから、92年には撤退させた。フィリピン政府は国連で核兵器禁止条約が採択された直後の9月に署名したが、ドゥテルテ大統領は昨年11月ようやく上院に批准の承認をゆだね、2月1日に承認されたものだ。

 核兵器禁止条約は「領内あるいは管轄・支配が及ぶ場所において、核兵器やその他の核爆発装置の配備、導入、展開の容認」を禁じている。米軍は訪問軍地位協定(98年締結)やその後の米比防衛協力強化協定などによって今も実質駐留しているが、反核運動にとっては大きな力となる。

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 しかし、条約は原子力発電の開発を禁じるものではない。フィリピン市民が求めるのは核兵器も原発もない世界だ。

 1月30日、音楽家ポール・ガランさんたちのMAPALAD KA(暴力と貧困に反対する親子の市民運動)、非核フィリピン、非核バターン運動などが参加して「2021年非核の世界へ」フォーラムが開かれた。基調講演を行ったローランド・シンブラン=フィリピン大学教授は「原発は原爆を繁殖させるもの」と述べる。

 ドゥテルテ政権は韓国企業の協力で原発の建設を狙う。エネルギー需要の増大を理由に40年までに、13か所で原発を建設する計画だ。20年10月には閉鎖中のルソン島中部・バターン原発の再開について住民の意向調査を命じた。同原発はマルコス独裁下で稼働寸前だったが、民衆はゼネラルストライキで稼働を許さず、現在は閉鎖中である。

 フィリピンの反核運動は、広島・長崎原爆の惨状、福島事故の現実を住民に伝える草の根の運動を展開してきた。AKAYプロジェクトをともに創る会も福島の避難者と共に直接声を伝え、連帯する活動を続けている。核兵器も原発もない世界を求めて市民の闘いは続く。

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 3月27日、ABAKADA(マニラの貧困地区の就学前教育施設)が呼びかけてオンラインで「平和な世界へ子どもたちとともに歩む旅」が開催される。子どもや親たちが平和とコロナ禍での教育・福祉のあり方を学習する。日本からもAKAYをはじめ子ども全国交歓会、OPEN(平和と平等を拓く女たちの絆)、ジュゴン保護キャンペーンセンターがビデオ参加する。視聴希望の方は kobukefam@jcom.zaq.ne.jp までご連絡ください。

(AKAYプロジェクトをともに創る会・中條千尋)
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