2021年03月19日 1666号

【島々シンポジウム 要塞化する琉球弧の今/住民を犠牲にするミサイル戦争 許さない/宮古島の住民運動の現場から】

 住民を犠牲にする「島しょ戦争」現実化の危険性を全国に伝えようと、3月7日オンラインで「島々シンポジウム―要塞化する琉球弧の今」が開かれた。テーマは「宮古島・保良(ぼら)ミサイル弾薬庫の開設=ミサイル戦争の始動を阻もう」。闘いの現場から4人のパネラーが発言した。

 1月の補選で宮古島市議に当選した下地茜さん(ミサイル・弾薬庫反対!住民の会)は「防衛省は他では何d火薬を置くと明らかにしているのに、宮古島では“防衛上の機密”を理由に答えない。発射時のリスクも他では『敷地内に収める』が、宮古島では『気をつける』だけ」と批判する。

 「月曜から土曜まで工事車両を40分程度止める活動を続けている。建設をできるだけ遅らせ、基地機能の無力化をめざす」と報告したのは、住民の会共同代表の下地博盛さん。

 「てぃだぬふぁ 島の子の平和な未来をつくる会」の石嶺香織さんは「2015年、安保法制と宮古島配備が車の両輪のように整えられ、法の運用の場所がここになると感じた。今、迷彩服の人たちや軍事車両が生活の中に現れている」。楚南有香子さんは「賛成の方がたとも議論し、『地下水は守るべき』と意見が一致。『俺たち戦争したいわけじゃない。平和が一番。子どもの未来は幸せに』とも。全国のみなさん、9条守れと同じぐらい、沖縄を捨て石にするなと世論を高めてほしい」と訴えた。

 1月市長選では「オール沖縄」が推す座喜味(ざきみ)一幸候補が勝利した。石嶺さんは「座喜味さんは自衛隊自体は容認。市民が声を上げ、自治体を動かさなければ。ただ、賛成・反対の分断から少し解放され、島のためにどんな選択がいいか話し合うスタートラインには立てた」と評価する。

 シンポジウムを呼びかけた軍事ジャーナリストの小西誠さんは、琉球弧要塞化の狙いを「東シナ海の制海権・制空権を確保し、日米の軍事力で制圧するため」と解説。今国会では、基地周辺の土地売買規制法案の成立がもくろまれている。個人情報や利用目的などの事前届け出を義務づけ、違反者に懲役・罰金を科す。小西さんは「戦前の要塞地帯法と同じ。売買も写真撮影も移動もすべて制限された」と警告した。

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