2021年03月26日 1667号

【18の政策とは 地位協定と合同委員会 第3回 日米安保条約(2) 在日・在沖米軍基地をなくす】

 日米地位協定の優遇措置は何をもたらしているか。

 協定の「国内法適用除外」により、米軍用機の航空法無視の低空飛行など危険な訓練、実弾入りの火器を持った米兵の公道行軍などが地元住民の生活と命を脅かす。「捜査権放棄」で、米軍の犯罪・事故はその許可なく捜査できない。その他、新型コロナ蔓延下でも出入国の検疫を免れ、触法米兵も帰国し、事件・事故は裁かれず、化学物質などが垂れ流されている。

 象徴的なのは、2004年の米軍ヘリ墜落事故だ。大型輸送ヘリが訓練中、沖縄国際大学校舎に激突、炎上。破壊された部品は近隣の民家や保育所にまで飛散した。同ヘリには放射性物質ストロンチウム90が搭載され、機体の燃焼で気化した。米軍は武装した米兵を配置し事故現場周辺を封鎖。日米地位協定を盾に、地元警察、消防、自治体、大学職員まで一切の立ち入り・調査を許さなかった。

独・伊に比べても異常

 日米地位協定の異常さは、他の第2次大戦敗戦国に比べても明らかだ(表)。

 独・伊は地位協定を改定させてきたが、日本政府は改定を要求せず、むしろ拒んできたことが原因だ。そこには、日米安保条約を隠れみのに、日米韓共同演習を繰り返し自衛隊侵略軍化を図ってきた歴代政府の意図が存在する。

 地位協定の実際の運用を協議するのが日米合同委員会だ。代表は日本側が外務省北米局長、米国側は在日米軍司令部副司令官で、日米両政府による軍事同盟強化のための密約の場となっている。外務省ウェブページに公開されているのはごく一部に過ぎない。

 例えば、自衛隊管理となっている富士演習場は年間270日間米軍が使用する権利を有する。これは、日本政府側からではなく、機密指定が解除された米軍文書で明らかにされた。

 日米安保条約・地位協定の規定すら超える内容が次々と決められている。合同委員会は憲法よりも国会よりも強い秘密会議≠ニなっているのだ。≪続く≫

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