2021年03月26日 1667号

【3・8国際女性デー/「わきまえない女たち」が闘いを交流/「黙ってられるか」と怒り爆発】

 米国で1904年に起きた女性参政権を求めるデモを起源とする国際女性デー。コロナ禍が女性差別を深刻化させる中で、女たちの連帯を強める意義は大きい。東京、大阪のつどいの報告を寄せてもらった。

「黙らない」ことが力に 大阪

 3月8日は国際女性デー。ジェンダー平等の社会実現にむけた取り組みが世界中で行われました。特に今年はUNウィメン(国連女性機関)事務総長が「新型コロナウイルス感染拡大による女性への負の影響は甚大。女性のくらしに影響する諸決定の場に女性が参加しなければ、コロナ復興は有効ではない」と、女性の政治参画を呼びかけています。

 日本では、森善朗元首相の女性蔑視発言をきっかけに政治の場での女性の地位をより高めていこうとの声が大きくなっています。政治参画の分野で日本は世界の中でジェンダーギャップ指数144位と極端に低い。この現状を変えていくために、選挙制度でのクオータ制(候補者数や議席数に男女比率を割り当てる制度)の導入についてようやく論議されるようになってきました。闘いはこれからです。

 大阪では、全国からのオンライン参加も交え、つどいを持ちました。

 コロナ危機で多くの女性たちは仕事を奪われ、女性の自殺者は前年より14%も増えています。そんな中、新たに五輪担当兼男女共同参画担当大臣になった丸川珠代参院議員は、選択的夫婦別姓には反対。ジェンダー平等からかけ離れた考え方の持ち主です。

 実行委員会からは、こんな世の中の動きに「だまっていられるか。女たちは怒っている」と、行動に立ちあがろうと呼びかけました。

女性直撃したコロナ

 ジャーナリストで和光大学名誉教授の竹信三恵子さんに「女性を直撃したコロナ災害〜どう切り拓くか」のテーマで講演をお願いしました。

 竹信さんたちが取り組んだコロナ相談村。女性専用コーナーを設けると、深刻な悩みが寄せられたそうです。「住むところがなくて、ネットカフェ生活」「家族に虐待されている」など、女性が受ける被害の実態が浮き彫りになりました。

 休業が増え、休業手当も助成金も支給されない。対人サービスの仕事に就いていた非正規の女性たちの解雇が際立ちます。その背景には、「夫がいるから収入が減っても困らないだろう」「女性の仕事は補助的」と言う「家制度」に根差した「男性働き手モデル」があると竹信さんは指摘します。

 解決の方向は、男女問わず公的なセーフティネットの完備と個人単位の支援策の充実です。おかしなことに「騒ぐ」こと、声を上げて行動することが大切だと強調されました。

 つどいでは、アフガニスタンで女性の自由と平等のために闘うRAWA(アフガニスタン女性革命協会)からのメッセージやフィリピンでコロナ禍でも仕事を作り出して生活を支えているABAKADA(アバカダカユマンギ地域発展基金)の女性たちの報告、韓国からは「慰安婦」問題の解決を呼びかける若い女性たちの動画メッセージがありました。国際的な女たちの連帯が実感できるつどいになりました。

(つどい実行委員長・OPEN〈平和と平等を拓く女たちの絆〉代表 山本由子)


「格差当たり前」を許さない 東京

 東京では、実行委員会と首都圏なかまユニオン女性部が呼びかけ、3月7日にリモートで開催しました。

 竹信三恵子さんが正規と非正規の待遇差別を容認した最高裁判決を批判した講演「格差容認の最高裁判決を乗り越えて」(均等待遇実現を勝ち取る1・28集会YouTube配信)を視聴し、交流を行いました。

 政府主導の「同一労働、同一賃金」にならされ、「差別があっても仕方ないと思いこまされていたことに気付かされた」「海外では『同一価値労働、同一賃金』の運動として広がっていることに目から鱗」などと感想がだされました。

 日本では昇給・昇進が、仕事ではなく、男性か女性か、高卒か大卒か、正規か非正規かなど属性で決められ、非正規だから給与が低くていいということに怒りを覚えました。参加者から「正規と同じ仕事をしているのに給与が低く、3年で終了」「会社は3年ルール(有期雇用を無期雇用にする義務)適用を嫌がり、ミス多発ときめつけ、雇止めされた」という報告もありました。

 首都圏なかまユニオンの伴幸生委員長からは、「看護師の日雇派遣制度導入を厚労省が通そうとしている。とても危険。闘いを強めよう」と訴えがありました。

 引き続き学習、交流の機会を持つことを確認し、閉会しました。

(つどい実行委員会 菅野幸枝)
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