2021年03月26日 1667号

【議会を変える 現場実態を伝え行政に迫る 京都府向日市議 杉谷伸夫】

 3月、全国の市町村議会は4月からの新年度予算の審議をおこなう。私たち議員は市民の要望がどう予算に反映されているかを中心にチェックする。私は特にPCR検査の拡充に取り組むことに力点を置いて議会に臨んだ。

 私はこの間、ZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)による京都府への申し入れに加わり、厚生労働省交渉にもリモート参加した。

 地域の介護事業所を訪問し、現場の訴えを聞いた。「居宅サービス利用者が感染し自宅待機になった場合、厚労省からは必要なサービスは継続するよう求める通知が来ている。しかしその人を看た後、何人もの利用者を回らなければならない。自分が感染を広げてしまう」「介護事業所で働いているが県外に出たら2週間出勤停止と言われている」。

 この現場の声を議会で訴え、入所型施設に限らず、すべての介護の現場で働く従事者が検査を受けられるようにするのは、行政の義務ではないかと迫った。

 また、自治体は国から「新型コロナ感染症対応地方創生臨時交付金」という名の、けっこう自由に使える財源が交付される。しかし、多くの自治体はこの交付金で行政のデジタル化を進めている。

 向日市でも、マイナンバーカードを使った証明書のコンビニ交付事業の財源約3千万円や、GIS(地理情報システム)の導入に2億円など、コロナ対応交付金の半分ほどを行政のデジタル化に充てている。私は、この交付金を市民が求めるPCR検査の拡充にこそ使うべきではないか、少なくとも医療・介護・障がい・子育て支援など、身体接触が避けられない現場の従事者への検査の実施に最優先に当てるべきだと求めた。

 行政の答弁は、結論は「実施は難しい」とこれまでと同じだったが、内容は大きく変わった。これまでは「検査は京都府が行うものであり、向日市にはできない」「無症状者への検査は意味が無い」という姿勢だったが、今回は「検査が必要ないとは思っていないが、今はワクチン接種に全力」「市が検査の補助をするのであればしっかりした所をと、色々調べてきたが現状では難しい」という答弁だった。現場のリアルな実態が、行政の姿勢に影響を与えているのだと思う。

 当初予算に反映は難しいが、補正予算で無償のPCR検査を実現できるよう、取り組んでいきたい。
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