2021年03月26日 1667号

【国際自動車残業代裁判 全面勝利の和解成立】

 国際自動車残業代不払い訴訟で、「残業代と同じ額を歩合給から差し引く」と定めた賃金規則は労働基準法37条(時間外・休日・深夜の割増賃金)違反と断じた昨年3月の最高裁判決に基づき、会社が原告の請求を全面的に認め総額約4億円の和解金を支払うとする和解が成立し、原告側が3月10日、記者会見で発表した。会見の場には、和解成立を見届け2月27日がんのため亡くなった原告団長の伊藤博・全国際自動車労働組合(国際全労)委員長の遺影が飾られた。

 現役のタクシー乗務員で国際全労執行委員の原告・荒川幸一さんは「勝利と敗訴を繰り返す厳しい裁判だったが、私たちの残業代を取り戻せて本当によかった。伊藤委員長と祝杯を上げられないのだけが無念。裁判を引っ張ってきた伊藤委員長が成し遂げられた和解解決だと思う」と話した。

 国際全労が所属する首都圏なかまユニオンの伴幸生委員長は「労基法37条は長時間労働の抑制が趣旨。同じような賃金体系の会社はまだまだある。それを是正し、お客さんの命を守れる働き方ができる社会をめざしたい」と表明。指宿昭一弁護士は「労働時間ではなく成果に応じて賃金を払って何が悪い、そういう契約をするのは自由だ、といった判決も出ている中で、最高裁は『労働時間に応じてきちんと残業代を払え』と明確にした。この意義はとても大きい」と強調した。

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