2021年04月02日 1668号

【原発賠償京都訴訟控訴審 原告陳述で被害者分断工作を弾劾】

 3月18日、原発賠償京都訴訟控訴審第9回口頭弁論には、多くの支援者が駆け付け、傍聴は抽選となった。

 今回は原告が意見陳述。共同代表の福島敦子さんは、国と東京電力による被害者の分断工作を弾劾し、同萩原ゆきみさんは、事故当時に被災者が感じた恐怖や絶望感を語り「避難指示区域外の人には損害はない」とする東電主張に反論した。

 原告側のプレゼンテーションでは、(1)原子力安全規制においては「事前警戒・予防」の観点から最新の科学・技術水準に即応した規制が求められ「切迫性」は用件とされない(2)福島原発事故では不溶性放射性微粒子が広く拡散しており、ICRP(国際放射線防護委員会)の内部被ばくリスクは過少評価である(3)避難の相当性は国内法の基準値をもとに評価すべきであり、原判決が土壌汚染を考慮しないのは重大な誤りである―と主張した。

 閉会後、記者会見が行われた。弁護団からの報告に続いて原告がそれぞれの思いを語った。京都から福島に帰還した原告は、帰還して感じる在住者との溝、もう一度生活を再建する大変さを述べ、「いま苦しくてたまらない。悔しくて悔しくてたまらない。本当に苦しい10年だったんです」と涙ながらに訴えた。オンラインを通じた海外在住原告は、原告団のプロジェクトチームで作っている国際人権法の小冊子が4月には完成すると報告した。

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