2021年04月09日 1669号

【1669号主張 デジタル監視法案は廃案へ/個人情報決定は権利だ】

採決を急ぐ菅政権

 菅政権は、デジタル庁9月発足を目標にデジタル監視法案(デジタル関連6法案)の採決を急ぎ、4月中旬にも成立強行をもくろんでいる。法案は、その目的として国際競争力の強化、経済発展=iデジタル社会形成基本法案第1条)を掲げる。GAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)に代表される巨大IT企業は、利用者のビッグデータを活用し巨額の利益を上げている。国や地方自治体が所有する膨大な個人情報をグローバル資本に差し出し利益をもたらすことが法案の本質だ。

 自治体が担う住民基本台帳、住民税、国民健康保険、国民年金、介護保険など17業務のシステムを全国一元化。個人情報保護条例を骨抜きにし、自治体が持つ住民情報を政府や企業が利用する。マイナンバーカード普及に躍起の菅は、2022年度末までの全住民のカード保有をめざす。預金口座、健康保険、運転免許に利用範囲を広げ、スマートフォンにも搭載という。

 市民のプライバシーを破壊し、個人情報を資本の儲けと政府による超監視社会実現のために使うデジタル監視法案は撤回しかない。

福祉削減に活用狙う

 必要なのはむしろ、個人情報の自己決定権を法律で定め保護することだ。EUは一般データ保護規則(GDPR)を設け、データ主体である個人の権利を基本的人権と位置づけ、アクセス権や訂正の権利、消去の権利などを定める。デジタル監視法案にはこの個人情報決定権が欠けており、国際基準とかけ離れている。

 同時に情報公開を徹底させ、安倍前政権から続く汚職や腐敗を隠す公文書破棄、捏造など情報隠蔽を許さない仕組みこそ必要だ。

 菅は、行政のデジタル化による利便性向上をうたうが説得力はない。差し迫った新型コロナ対策でも、検査拡大・医療拡充どころか公立・公的病院削減に固執し、生活補償も拒む。その姿を見れば、デジタル技術を社会保障切り下げなど生活を一層悪化させる施策に利用しようとしていることはたやすく想像がつく。

署名を 要請行動を

 菅政権が早期の採決強行をねらう中、法案成立阻止へ今行動する時だ。国会前行動が連続して取り組まれ、3月26日には250人が抗議の声を上げた。東京都小金井市などからは、反対や慎重審議の意見書が出されている。全国の自治体に働きかけ、それに続こう。

 ZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)が呼びかける法案撤回の緊急署名、ファクスや電話行動に立ち上がり、4月14日に予定される中央要請行動で怒りの声を政府に直接ぶつけよう。資本に個人情報を売り渡し超監視社会に道をひらくテジタル監視法案を廃案に追い込もう。

  (3月29日) 
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