2021年04月09日 1669号

【辺野古新基地建設阻止へ バークレー市議会も決議 米国内から連帯の動き】

2+2で軍事同盟強化へ

 米国大統領にジョー・バイデンが就任して2か月。新政権に対し、菅政権は即座に手を伸ばしている。

 3月16日、日米両政府は「外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)」を東京で開催した。中国を名指しで批判し、インド太平洋地域における日米同盟のさらなる強化を約束。辺野古新基地を可能な限り早期に建設完了することで合意し、共同声明を発表した。

 「日米両政府が辺野古推進で一致」とメディアは流す。県民の根強い反対意思をはじめ軟弱地盤の存在など日本政府に不都合な事実が米国に影響を与えつつあることは報じない。

 だが、新基地建設阻止への追い風は米国内にも吹き始めている。

 2月23日、カリフォルニア州バークレー市議会は、「名護市辺野古の米軍海兵隊基地建設の即時全面停止を要求する沖縄県民に連帯する」決議を米連邦議会下院軍事委員会に送り、州選出のバーバラ・リー下院議員とダイアン・ファインスタイン上院議員にも送付した。決議文は、沖縄県民が大浦湾の貴重な生態系を破壊する計画への反対を繰り返し表明している経緯に言及。2年前の県民投票で埋め立て反対票が70%を超えるなど、明確に意思表明してきたにもかかわらず、工事が強行されている、と指摘している。日本政府が隠したい急所を米国内から明るみに出した動きだ。

基地閉鎖を求める書簡

 さらに3月4日、海外基地閉鎖・再編連合(OBRACC)が、バイデン政権に「米国外の基地の閉鎖を求める公開書簡」を提出した。OBRACCの発足を呼びかけたアメリカン大のデイビッド・バイン教授は、今回の書簡について「沖縄の人々はあまりにも長い間、米国の基地の影響に苦しんでいる」とし、「沖縄の米軍基地を閉鎖し、辺野古の新基地の建設を中止することから始めるのは明らかだと考えられる」と語った。

 この公開書簡は「海外基地は米国を戦争に巻き込む。海外基地は軍事的緊張を高める。敵対者を阻止するどころか、米国基地は他の諸国を敵に回して、安全保障の脅威を激化させる可能性がある。中国はアジア地域で250以上の米軍基地によって包囲されていると感じていて、南シナ海でより強引な政策をとるに至っている」としている。

 中国海警局による武器使用を明記した「海警法」施行など日米両政府はその脅威を煽るが、そうした事態を招いたのも米国による異常な中国包囲網だ、と書簡は指摘する。南西諸島への自衛隊ミサイル部隊の配備や辺野古新基地など日米軍事一体化を推し進めていることがさらに戦争に巻き込む恐れがあると警告を発する内容なのだ。

 書簡には、言語学者のノーム・チョムスキー教授など識者をはじめ米国の平和運動団体コード・ピンクのメディア・ベンジャミン共同理事など44個人・団体が名を連ねている。

米軍事予算の削減要請

 3月16日、2プラス2開催のその日、米国民主党下院議員50人が、2020年度会計年度の軍事予算を大幅に削減する要請書簡を発した。50人の議員には、DSA(アメリカ民主主義的社会主義者)を含むプログレッシブ(進歩的)議員団10人も加わっている。

 このDSAなど民主党左派の議員を通じてバイデン政権に辺野古新基地建設白紙撤回の決断を求めていくZHAP(ZENKO〈平和と民主主義をめざす全国交歓会〉辺野古プロジェクト)賛同運動は、こうした一連の動きにもつながるタイムリーなものといえる。

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 沖縄では、沖縄戦犠牲者の遺骨が眠る土砂を辺野古新基地の埋め立てに使用することをめぐって、改めて県民の平和を願う強い意思が燃え広がっている。県内12市町村議会で遺骨土砂反対の意見書も可決された。

 人が人を殺す戦争、基地、軍隊などいらない。軍事予算を削れ、新基地を造るな。平和ための国際連帯が今求められている。  (N)  
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