2021年04月16日 1670号

【1670号主張 民主主義と人権の破壊許すな デジタル法案衆院強行糾弾】

強行議決の暴挙

 4月6日、菅政権は衆院本会議でデジタル監視法案(デジタル関連6法案)のうち自治体システム標準化法案を除く5法案の採決を強行し可決した。この暴挙を厳しく糾弾する。

 デジタル法案は、国や地方自治体が所有する個人情報をグローバル資本の利益のために利用しやすい仕組みをつくるものだ。それに向け、民間、国の行政機関、独立行政法人をそれぞれ対象とした3つの個人情報保護法を一元化し、個人情報保護のための規制を切り下げる。首相直轄のデジタル庁は、強大な権限で省庁の上に立ちシステムを統合し、市民の多様な個人情報をマイナンバーとひもづけて取得し一元管理する。国全体を超監視社会に導く。

 法案は、計63の法律に及ぶ膨大な内容のうえ、45か所以上誤りが見つかるなどずさんきわまりない。にもかかわらず、菅は3月9日に審議入りするや問答無用と、たった27時間半の委員会審議で採決した。攻防は参院に移るが、デジタル監視法案は廃案しかない。

監視と情報提供NO

 しかし、まともな審議もない採決強行は、菅政権の強さを示すものではない。プライバシー権―人権を侵害する法案の正体が暴かれないうちに成立させようとする焦った姿なのだ。

 今回の法案では、自治体条例の保護規定が骨抜きにされ個人情報は丸裸になる。国会審議では、▽「業務の遂行に必要」な場合に本人同意なしに目的外利用できる▽行政が持つ個人情報を民間企業に提供可能とするオープンデータ化される▽ほとんどの自治体が定める個人情報の外部オンライン結合の禁止を認めない―が明らかになった。

 平井デジタル担当相は「現行の条例の規定はいったんリセット。法律の枠内で条例を決めていただく」と地方自治を否定し政府に従わせると明言。これは、個人情報が本人の同意なく企業など第三者に提供、目的外利用され、監視社会を加速させることを意味する。

地域からの反対で廃案へ

 デジタル監視法案の成立を阻止しようと国会前、全国各地で連日行動が取り組まれている。「監視社会はゴメン」「個人情報を勝手に使うな」の声は民意であり、急速に広がりつつある。

 法案の最大の問題は、個人情報保護の観点と措置が決定的に欠落している点だ。この危険性を伝え、国際基準となっている個人情報の自己決定権保障こそ求められていることを訴えよう。

 ZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)が呼びかける法案撤回の緊急署名、ファクスに取り組もう。地域から自治体に反対するよう要請し、4月14日の中央要請行動で怒りの声を政府に直接ぶつけよう。テジタル監視法案廃案へ、いま行動し、世論を高める時だ。

  (4月6日) 
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