2021年04月16日 1670号

【イタリア アマゾンで大ストライキ 労働者はロボットではない 米国では組合結成への闘い】

 3月22日、イタリアのアマゾンの倉庫で働く労働者、配送を行う労働者が24時間ストライキを行った。トスカーナ、フィレンツェ、ピサなど全国のアマゾン倉庫で実施され、物流業務全体に影響を与える初の全国ストとなった。このストライキは三大労働組合であるイタリア労働総同盟(CGIL)、同労働組合連盟(CISL)、同労働同盟(UIL)が指導した。

 イタリアの労働組合組織率は約3割だが、ストライキ権は憲法が認める労働者個人の権利だ。組合に加入していない労働者も参加する。今回のストには75%の配送運転手が参加し、高い支持を示した。全体の参加者は4万人に上った。

 掲げられた要求は、低賃金と耐え難い仕事ペースなど労働条件の改善、コロナウイルス感染防止に全く不十分な保護措置の改善だ。「野蛮な不安定労働はもう、うんざり」「労働者はロボットではない」の言葉が労働者の要求を象徴している。

感染防止もなおざり

 アマゾンの倉庫の作業現場には、「ワーカー」と呼ばれるアルバイト、その上が「トレーナー」、さらにその上に「リーダー」がおり、一番上は「スーパーバイザー」。いずれも時給で働くアルバイトだ。アルバイトに序列をつけ、アルバイトがアルバイトを管理するようになっている。

 労働者は出荷品を集めるピッキング作業に従事するが、ハンディー端末の画面で指示された通りに作業する。ピッキングのたびに「次のピッキングまであと何秒」という表示が出る。100回のピッキングで、100回ともハンディー端末が指示する時間通りにピッキングできれば、PTG(パーセンテージ・ツー・ゴール)100とされ、それを5回上回ればPTG105と数値が上がり、5回下回ればPTG95と下がる。毎日アルバイトの名前と順位、PTGの数字が一覧表として張り出される。

 このように作業は常に見張られており、目標に達しないと叱責(しっせき)される。労働者は1回の勤務で倉庫内を20`以上駆け回らなければならない。この非人間的な労働実態の改善が倉庫労働者の最大の要求だ。

 アマゾンの商品を配送するトラック運転手も過酷な労働を強いられている。1日180〜220個の荷物配送を要求される運転手は、長時間労働で満足にトイレにも行けず、休憩して昼食をとることすらできない。

 コロナ感染拡大の期間は、アマゾンへの注文のピークと重なった。しかし、感染防止策はなおざりで、労働者はコロナ危機の中で労働を継続したことへの手当の支払いを求めている。また、平均3か月という短期契約の安定化を要求している。

 これに対し、アマゾンは「自社、請負業者を問わず労働者を最優先し、安全で包括的な職場環境、競争力のある賃金及び利益を提供した」と開き直り、団体交渉も拒否している。

国境を越え共闘

 時を同じくして、米国アラバマ州ベッセマーにあるアマゾンの倉庫労働者6千人が組合結成の選挙を闘っている。労働者の85%がアフリカ系アメリカ人で、大多数は女性だ。米国で初の労働組合のあるアマゾン倉庫の誕生につながる。

 アマゾンは、労働者に反組合のメッセージを1日数回も送信するという大規模な組合つぶし策をとっている。しかし、すでに倉庫の半数以上の労働者が組合カードに署名。地域の労働組合やDSA(アメリカ民主主義的社会主義者)も支援連帯している。

 現在世界22か国の労働組合で構成される、UNIグローバル・ユニオン=アマゾン・アライアンスという国際的な共闘組織が結成され、それぞれの闘いへの支援がされている。

 日本のアマゾン労働者もイタリア、米国などと全く同じ苛酷な労働環境に苦しんでいる。国際的なアマゾン包囲の闘いに連帯し、ユニオンを組織し闘おう。



MDSホームページに戻る   週刊MDSトップに戻る
Copyright Weekly MDS