2021年04月16日 1670号

【みるよむ(579)2021年4月3日配信:イラク平和テレビ局in Japan 正規雇用と賃金支払いを要求する イラクの電力労働者】

 イラクの電力労働者は長年、非正規雇用と賃金未払いに苦しんできた。いま全国で権利獲得の闘いを組織し、電力省に要求を突きつけている。2021年2月、サナテレビはこの闘いについて取材した。

 電力労働者の総数は11万4千人。非正規雇用であり、雇用する電力省は賃金不払いを続けている。怒った多くの労働者は、バグダッド中心地にあるグリーン・ゾーン前に集まりデモをし、路上封鎖を行っている。

 インタビューに答えるのは契約労働者委員会のワエル・アル・アサディ委員長だ。当局の弾圧で正式の労働組合が作れない中、「契約労働者委員会は州の電力労働者の95%を代表している」と言う。全土の都市に組織を作り、デモと対政府交渉を闘っている。

 アサディさんは労働者の実態と闘いを語る。「契約労働者は15年も働いているが、この9か月間、賃金が未払いになっている。電力産業労働者は感電など死の危険に直面している」。その言葉とともに、事故死した労働者の写真を付けた「職場の事故で電力労働者が亡くなったことを悼む」との横断幕が映し出される。

 一方、元電力大臣や電力省次官が日雇い労働者8万2550人の賃金430億ディナール(約32億円)を着服して逮捕された。日本の汚職官僚や大臣と同じだ。

正規雇用転換実現へ

 契約労働者たちの闘いの前に、政府は契約労働者、時間給労働者を正規雇用に転換する方針を打ち出さざるを得なくなった。無所属独立派の国会議員も、国会でその法案論議が進んでいることを報告する。

 イラクの電力労働者は、未権利状態から立ち上がり、契約労働者委員会を組織し、正規雇用と未払い賃金の支払いを要求している。デモと対政府交渉で政府幹部の汚職を追及し、要求獲得へと前進している。この闘いに連帯したい。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)

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