2021年04月23日 1671号

【1671号主張 感染再拡大は人災だ 検査・医療・補償で命を守れ】

責任転嫁の「まん延防止」

 新型コロナウイルスの第4波が全国に拡大している。菅政権は4月5日から宮城、大阪、兵庫の3府県に「まん延防止等重点措置」を適用し、12日には東京、京都、沖縄を追加した。新型コロナ特別措置法改悪で創設されたこのまん延防止措置。緊急事態宣言でなくとも恣意的な私権制限と罰則を可能とするものだ。

 内容は移動「自粛」や飲食店の時短要請などだが、知事の命令に違反した場合には20万円以下の過料が科される。大阪では「マスク会食」の義務化や「見回り隊」による約4万店の調査が行われている。しかし、こうした厳罰化や監視は感染防止にもつながらない。まん延防止措置は政府の無策・失政を覆い隠し、感染拡大の責任を市民に転嫁するものに他ならない。

菅・吉村・小池の人災

 吉村大阪府知事、小池都知事らは「若者」「飲食店」をターゲットにし、メディアに露出することでコロナ対策「やってる感」を演出してきた。しかし、その実態は新自由主義むき出しの医療切り捨てである。

 維新・吉村は、感染防止そっちのけで昨秋は都構想住民投票、3月には都構想もどきの広域一元化条例を強行した。市民の命よりも党利党略優先なのだ。さらに、緊急事態宣言解除後の2月末、医療機関に対し重症病床を224床から150床まで減らすよう指示。感染者急拡大で4月12日には重症病床の運用率が府発表でも90%を超えた。維新の「改革」こそ医療崩壊を作り出している。

 小池も同様だ。肝いりのコロナ専用病院も目標の100床が運用されたことはない。第4波に向け病床・人員を拡充するのではなく、3月中旬に職員を半減、病床も33床まで縮小した。PCR検査数も、1日2千件未満の日があるなど抑制され圧倒的に少ない。

 そして菅は公立・公的病院の病床削減予算を決定し、75歳以上の医療負担2倍化法案を衆院で強行可決した。

 無策どころかこうした医療切り捨て政策によってコロナ禍は一層深刻化している。明らかに人災だ。

検査・医療の抜本拡充を

 命を守るために必要なのは、まん延防止措置や、安全性有効性の科学的検証もないワクチン頼みではなく、検査・医療体制の抜本的拡充だ。

 広島では、県内5か所のPCRセンターで全県民を対象に無料で検査を実施。広島市内の205か所の薬局でも予約なしに無料検査が受けられる。これこそ緊急に求められる対策だ。

 今、自治体・政府に検査、医療、補償、給付の拡充を求め実現していく実例が切り開かれつつある。「PCR検査を求める緊急署名」や自治体要請行動を広げ、要求を一つずつ勝ち取ろう。菅政権を倒し、命と生活を守りぬこう。

  (4月12日) 
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