2021年04月23日 1671号

【たんぽぽのように(18) ソウル・釜山市長補欠選挙の結果 李真革】

 1662号の本コラムで、「塩花の木」の金鎮淑(キムジンスク)さんが復職を要求して釜山(プサン)から青瓦台(チョンワデ)まで歩いていることを伝えた。行進は終わったが、復帰されたという便りは、まだない。

 4月7日のソウルと釜山市長補欠選挙の結果、野党「国民の力」が両方とも圧勝となった。投票直後に出口調査(図)の結果が出て、多くの人が驚いた。


 [4・7 ソウル市長 補欠選挙 放送3社 出口調査]

(※青が「共に民主党」朴映宣(パクヨンソン)、赤が「国民の力」呉世勲(オセフン)、グレー色はその他)

 18、19歳と20代男性の72・5%が「国民の力」の候補を支持した。60代以上の傾向と大きく変わらない。これに対し、同じ18〜20代の女性は、与党「共に民主党」候補をより多く支持した唯一の集団であり、何より第3の候補に投票した割合が15・1%にもなる。

 今回の補欠選挙は、ソウル、釜山とも民主党所属の市長の性暴力事件から始まった。民主党は「党所属選出公職者の大きな誤りで補欠選挙をする場合には候補を出さない」との党憲(綱領にあたる)があるにもかかわらず、それを「改正」までして選挙に突入した。

 さて、民主党と文在寅(ムンジェイン)政権の4年間、どんなことがあっただろうか。あちこちで大量解雇が幇助(ほうじょ)され、「重大災害企業処罰法」の制定は大企業のニーズによって骨抜きにされた。新型コロナウイルスを理由に財閥などには数十兆円の支援金が提供されたが、市民に対しては全く違った。国防予算は1兆円も増加した。ろうそく集会の契機となったセウォル号惨事の真相究明と責任者処罰は、まだはるかに遠い。

 進歩≠ニ称するが、結局「同じ穴の狢(ムジナ)」である自分たちの姿を自ら証明した。

 最近の選挙結果を通して、若い男性層の保守性が心配だという評価が多い。しかし一方、第3の候補に15%も投票した若い女性たちを見て、民主主義とは何だろうか、改めて考えてみる。

(筆者は市民活動家、京都在住)
MDSホームページに戻る   週刊MDSトップに戻る
Copyright Weekly MDS