2021年04月23日 1671号

【東アジアの平和へZENKO参加団in広島 歴史を書き変える者から声なき声を守り 記憶の糸を紡がなければ】

 歴史というものは、人びとの体験や記憶が積み重なって形成されていきます。歴史は誰かにとって都合よく書き変えられたりしないように、常に目を配り、そして人々の記憶から失われないように、後世に伝える努力を継続していかないと、あっという間に失われ、あるいは間違った形で後世に受け継がれます。

 戦艦「大和」が沈んだことや敗戦にはさほど触れず、日本軍の技術を賛美することが主な目的の、大和ミュージアム。「上辺だけの」「権力者に都合がいい」という枕言葉を付けたくなった、歴史の見える丘。追悼碑を建てなければ、空襲があったことも忘れられたのでは、と思った防空壕跡の和庄公園。非人道的兵器である毒ガス製造を行い、関係者は言葉を封じられ、地図からも消されていた大久野島―。

 まるで、物言わぬ犠牲者たちが「語り継いで。人びとの記憶から消えないうちに」と訴えかけてくるようでした。

 記憶を消そうとする者、書き変えようとする者たちから、声なき声を守り、記憶の糸を、後世へと紡いでいかなければ。

(岡山・大源亜希子)

MDSホームページに戻る   週刊MDSトップに戻る
Copyright Weekly MDS