2021年04月30日 1672号

【1672号主張 個人情報は私のものだ デジタル法案の強行許すな】

あらわになる危険性

 衆院で強行されたデジタル監視法案(デジタル関連6法案)の5法案が4月14日、参院でも審議入りした。4月中旬にも成立を狙った菅政権の思惑通りには進んでいないが、自治体システム標準化法案も16日衆院で可決し、6法案制定を急ぐ。それは、審議すればするほど市民を監視し資本に個人情報を譲り渡す法案の本質があらわになるからだ。

 衆院通過時、国民監視の情報収集に用いない、自己情報を自ら決定する措置を講ずる、自治体独自の事務遂行を妨げない%凵A28項目もの付帯決議が付いた。このこと自体、恣意的に個人情報を管理、利活用できる法案と政府自ら認めたに等しい。「個人情報保護の徹底を」とメディアも問題点を指摘し始めた。危険性をさらに訴える時だ。

広がる市民の行動

 廃案を求める市民の運動が拡大しつつある。法律家ネットワークなどの声明が上がり、国会前行動に参加する市民が増えている。「監視されるのは怖い」と廃案を求める街頭署名やSNS上の批判が広がり、自治体への要請行動も各地で取り組まれている。

 参院審議入りの14日、ZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)が呼びかけた中央要請行動が行われた。「デジタル監視法案の廃案を求める署名」を内閣府に提出。要請では、官僚らの答弁で、自治体が定める「外部機関とのオンライン結合制限は残させない」、企業のための個人情報「匿名加工情報」提供について「都道府県と政令市は義務」など、衆院審議で明言しなかった個人情報保護骨抜きの狙いを暴き、追及した。また、「ワクチン接種システムは自治体判断で使用しなくてもよい」と明言させ、自治体での闘いの手がかりも得た。

 こうした市民の行動と国会審議を結んで反対世論を広げれば、デジタル法案を廃案にすることは可能だ。

参院強行阻止、廃案へ

 菅政権は法案の早期成立へ焦っている。コロナ無策に対する市民の怒りが、デジタル法をはじめ命とくらし無視の新自由主義政策批判につながることを恐れるからだ。同時に、日米首脳会談(4/16)で示された中国敵視の軍事同盟強化=戦争路線を突き進むためには、市民の反対を封じる総監視体制作りが不可欠だからだ。

 デジタル監視法案への対案は「個人情報の自己コントロール権」だ。私の情報は私の人格の一部。個人情報は自分でコントロールできる権利があり、みだりに使用されてはならない。まして監視対象や資本の商品にすることは許されない。

 市民の力で、社会に真に必要な基本的な権利―情報の自己コントロール権―を根付かせ、人権侵害のデジタル監視法案を廃案に追い込もう。法案もろとも菅内閣を倒そう。

  (4月19日)
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