2021年04月30日 1672号

【声上げられぬ住民との対話が政策に/民主主義を鍛え次の社会を地域からつくる】

 新型コロナ感染拡大の中、行政の無策が市民の健康と生活を一層脅かしている。困難を抱え切実な要求を持つ住民の声を政策に具体化する意義はますます高まっている。地域から民主主義を築き社会を変革する闘いが問われている。東京・足立区と大阪市の取り組みを紹介する。

介護保険料値上げ圧縮を伝える戸別訪問に手ごたえ 東京・足立区

 東京・足立区では、「福祉はみんなの権利だ!」署名に取り組み、介護保険料負担軽減給付制度創設と、積み立てた区の基金40億円使って値上げをやめるよう求めてきた。区へ提出した署名392筆はほとんどが戸別訪問で得たもの。その成果が実り、中間報告で示された保険料値上げ案より大幅圧縮を勝ち取れた。

 「結果が出たのでご報告です」と、今、協力者へ2度目の戸別訪問を展開している。臨時ニュースを渡し、「区長も『値上げ反対の声を重く受け止め』と言っているように、私たちの声が区へ届きました。土屋のりこ区議と一緒に声をあげていけば実現できることもある。今後も声をあげていきましょう」

 一回目の訪問ではニュース読者となることを断った方も「読むよ」と、92人との対話の中から新たに55人が読者となってくれた。

 うれしかった言葉は「これまで署名しても効果あったためしがないのに、効果あったなんて涙が出ちゃう」という女性の言葉だ。通信読者と「しゃべり場」オルグをおこない「今回は行けないがまた企画しますよね」と問い合わせも入った。

 一様に「ご苦労さま」と訪問を温かく受け入れてくれている。結果報告により、取り組みへの信頼感を獲得している。

 再訪戸別訪問をやり切り、3年後に向け新たな介護保険料値上げ阻止署名を作り、足立区全域へ戸別訪問を広げたい。土屋のりこ区議への支持を広げることは、民主主義的社会主義への地域変革の共感者を組織するということだ。

(平和と民主主義ともにつくる会・東京 事務局長 石島孝)


地域の変革は地域の人びととともに 大阪市

 「平和と民主主義をともにつくる会・大阪」(代表山川よしやす)は、いま市民生活を脅かしているコロナ感染拡大とデジタル監視法案への闘いに全力をあげている。

 会はデジタル監視法案反対の署名活動をスーパー前などで4月11日から連続1週間取り組んだ。市民と直接対話できる大切な場でもある。実際「初めて聞いた」との声が多く、危険性を知らせるにはまだまだ宣伝が必要であることがわかる。

 一方で、地道な会の活動が市民へ浸透しつつあることもわかった。署名に応じた女性から「都構想の時、反対していた団体さんですか」と声がかかった。「大阪をめちゃめちゃにしているくせに、橋下と吉村テレビに出過ぎで、腹立ってしょうがない」と維新政治に対する怒りを抑えきれない市民もいた。大阪では連日千人を超える新型コロナ陽性者が出ている。公立病院を閉鎖した維新の罪は大きい。都構想の代替である府市一元化条例を強行した維新に怒りをぶつける市民も署名に応じた。

 会では街頭や戸別訪問で得た署名、市民の声を持って政府要請や国会前抗議行動に多くの代表を派遣している。その報告を定例のミーティングや集いで行い、地域での市民の闘いが国政と直結していることを伝える場となっている。4月17日の「山川よしやすと語るつどい」には、早速、4月14日に行ったデジタル監視法反対の中央要請・署名提出行動の成果が報告された。

 「維新を倒し、山川さんを議会に送ることが会の目的。維新がやったことで何一ついいことはない。失われた10年だ」と山川応援団長を自任する市民が発言した。山川さんは「維新の固定票70万を上回ることは可能だ。こんな社会をつくりたいと打ち出して、これからの2年間を闘っていく」と答えた。

 会には医師も看護師もいる。万全のコロナ対策をとり、市民の声を直接集め、政策に反映させていく会の取り組みが、足元からの民主主義を築く。

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