2021年04月30日 1672号

【デジタル監視法案は廃案だ /ZENKOが中央要請行動/緊急署名1511筆 提出/情報の自己決定権の保障を/内閣IT室「オンライン結合拒否 できない」】

 ZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)は4月14日、この日参院で審議入りしたデジタル監視法案の廃案に向けて中央要請行動を実施。各地域で集めた同法案の撤回とプライバシー権の確立を求める緊急署名1511筆を内閣府に提出するとともに、福島みずほ議員事務所を通じて参院議員会館に政府担当官を呼び、1時間半にわたって請願した。

「誤解」と開き直る

 政府側は内閣官房IT(情報通信技術)総合戦略室や総務省、個人情報保護委員会などの15人が出席。冒頭から、請願趣旨中の「法案の理念には『個人情報保護』の言葉さえなく」の文言に「目的として『個人の権利・利益を保護する』と書かれている」と“反論”するなど、要請に背を向ける対応を貫いた。

 「膨大な個人情報を国家が一元管理」との指摘にも「誤解だ。ルールを揃えるだけで、どこかの機関1か所に個人情報を集めるという規定はどこにもない」と繰り返す。自治体の個人情報保護条例で「外部機関とのオンライン結合制限」を定めている場合その廃止・緩和を義務づけないよう求めたのに対しては「オンラインでもオフラインでもきちんとセキュリティ対策をすべき。オンラインであることに着目して特別の規制を課すことは合理性がない」「人権に関するルールはユニバーサル(普遍的)。地域・自治体によって違うものではない」「政府機関と同様、自治体についても誰かが外側から客観的に監督する仕組みが必要」とし、「オンライン結合制限はどこかの地域についてだけやる話ではない」と結合を拒否できないことを明言。「匿名加工情報の提供は都道府県・政令市は義務。それ以外は任意だが、立法府の判断で法律が変わることはある」とも述べた。

ワクチン接種記録も追及

 自治体システム標準化法案をめぐっては「自治体の独自施策に支障が生じないよう自治体の意見を丁寧に聞く」、マイナンバー情報の企業への提供については「しっかり本人の同意を得る。本人のあずかり知らないところで民間の第三者に情報が提供される仕組みにはなっていない」、国のワクチン接種記録システムの運用については「法的義務ではない。自治体側の負担が最小限になるよう努めている」と弁明する。

 「自己情報のコントロール権の保障」要求は、「個人情報保護を所有権・財産権的な意味合いでとらえてよいのか。この言葉が書いてないから遅れている、という単純な話ではない」と拒絶。衆院内閣委員会の附帯決議に「自己に関する情報の取り扱いについて自ら決定できること」が盛り込まれた意義にさえ考えが及ばない不見識を露呈した。

なぜ余計なものを

 請願参加者はまず「個人情報は誰のものか。その根本で法案には瑕疵がある」とクギを刺した上で、「自治体は住民生活にかかわる多くの業務で“上乗せ”“横出し”規定を設けている。それがシステム上不可能になる」「ワクチン接種の現場では“なぜこんな余計なものをつくるんだ”と不満が強い」「データの一元管理をアマゾンがする。危なくないのか。終わったら破棄するなんて誰も信用しない」と批判。

 地方議員からも「担当課は『マイナンバーカードの保険証利用さえうまくいっていないのに、ワクチン接種記録システムが機能するとは思えない。これまでのやり方で接種は全然問題ない。自治体情報を今後どう国が扱っていくのか怖い』と話している」(土屋のりこ東京都足立区議)「国民健康保険でも以前から『システムがあるので上乗せできない』と蹴られている。議員研修でも『(上乗せ・横出しは)できません』とはっきり言われた」(杉谷伸夫京都府向日市議)と実態が示された。

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