2021年04月30日 1672号

【市民が主役の選挙 貫く/30188票の熱い支持/現職に1600余票差と肉薄/日野市長選 あるが精一候補/市民とともに歩む市政へ 闘いは続く】

 東京・日野市長選が4月18日、投開票され、「クリーンなまち日野をつくる会」の推すあるが精一候補は現職候補に僅差で迫る大接戦の末、惜しくも敗れた。市民が主人公の取り組みに徹した選挙戦は、市民とともに市民のために働く市政実現の展望を開いている。

 投票締め切りから1時間の午後9時すぎ、会の事務所に支援者・メディア関係者が集まり始めた。投票率は前回比4・9ポイント増の41・55%との市選管発表に期待が高まる。注目されたのが、投票所ごとの投票率。期日前投票所が設けられた「イオンモール多摩平の森」に近い「日野二中」投票所が49・69%と30投票区中最高であることが分かった。とくに女性は50・43%で、唯一5割を超えた。

 「イオン前で続けたスポット宣伝の効果」「みんな自分の言葉で発言していた」「買い物のついでに期日前投票した人が多かったのでは」「(あるが候補に)入れたよ、の声をたくさん聞いた」と会話が弾む。街頭で重ねてきた対話が投票率アップにつながったことは間違いない。

 10時時点で「あるが精一5000票」「大坪冬彦6000票」だった得票数の選管速報が、10時30分には両者とも1万票、11時も両者2万2千票に。拍手と歓声が沸き起こった。「いい勝負になってきた」「こんなに緊張する市長選開票は初めて」「大坪陣営は凍りついているのではないか」。活気みなぎる事務所に11時すぎ、あるが候補も姿を見せ、開票状況を見守る。

 一転、雰囲気を重苦しくしたのは、11時30分の速報。大坪候補に1500票の差をつけられた。日付変わって午前零時すぎに届いた確定得票数は「あるが30188票」「大坪31873票」。当日有権者数のわずか1%あまり、1685票差の惜敗となった。

"みそぎ"選挙にさせず

 「新しい日野市政を求める市内在住弁護士の会」代表の山口俊樹弁護士は「残念。ただ、楽しい選挙だった。いろんな市民が街頭でマイクを持ち、いろんな市民に声をかけられた。これは市民による選挙。市民はいなくならない。“あるがイエス”と言った3万188人と一緒に市政をチェックし続ける」と語る。

 あるがさんも前を向く。「疑惑にフタの“みそぎ”選挙にはさせなかった。裁判もこれから進行し、来年は市議選もある。市長の“ごまかし”作戦を市民に知らせ、次の一歩を踏み出す。こちらに運動の力はあった。ひるむことなく頑張る」

 市議としてのあるがさんの活動を支えてきた「日野・市民自治の町をめざす会」の立山正隆さんからは「大坪市長は疑惑について市民の信任を得たとは決して思っていない。おかしいと言う市民は増えている。みなさんとともにつくった公約を運動の実践の中で前進させていきたい」と決意表明。めざす会会員らが行った電話かけは1万1512件、地域での対話は709か所に上る。

 投票総数は6万3519。前回から8700以上増えたが、大坪候補の得票は5000以上減った。一方、2期目の市議当選時(18年2月)1760票の支持しかなかったあるが候補は、市長選立候補表明後50日足らずで3万票以上を獲得。窪田之喜弁護士の「すばらしい闘いで、勝ちきりたかった。市政、国政を変えるスタートを切った。市民生活を支える市政、市民とともに闘い切り開いていく自治体を」との言葉に全員が納得した。



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