2021年05月07・14日 1673号

【命と暮らしへ税金を使う市政に 「平和と福祉のまち西宮をつくる会」結成 代表 廣田和也】

 コロナ禍の下で、地域から要求を突きつける自治体要請行動が各地に広がっている。そうした運動の中から、兵庫県西宮市では4月10日、命と暮らしを守るための市政変革をめざす「平和と福祉のまち西宮をつくる会」が結成された。代表の廣田和也さんに報告を寄せてもらった。

 西宮市は、新型コロナ感染症による10万人あたりの死者数、陽性者数ともに全国平均を上回っています。一方、PCR検査数は全国平均を下回っています。

 「行政検査が少なすぎる」「検査対象になっても時間がかかりすぎる」「施設で陽性者が出ても全員検査しない」「医療崩壊寸前」「自宅待機者200人超、さらに多くなっている」―市民の声が噴出する状況です。

 そんな中で、ある福祉職場でクラスターが発生。定期的PCR検査の実施と、市のホームページへの入院者数、宿泊療養数、自宅待機者数など具体的データの掲載を求めて、何度も要請をしてきました。当初、「定期的な検査は考えていない」との回答でしたが、「利用者の入浴介助でマスクをつけろというのか」「ソーシャルディスタンスをとっていたら、利用者とのコミュニケーションが取れない」「安心して働くためには、定期的なPCR検査が必要」と福祉職場で働く労働者の生の声をぶつける中で、入所施設だけでなく、通所や訪問も含めて1事業所1回限りの抗原定量検査を3月から実施することになりました。

 不十分ではありますが、何度にもわたり要請を積み重ね、生の声をぶつけることが行政を動かす力になると確信しました。

街頭アピールに共感

 今こそ、命の使い捨てを許さず、命と暮らしを守るために税金を使う市政に変えかなければと、4月10日、「平和と福祉のまち西宮をつくる会」を50人の参加で結成しました。参加者から「市民に優しい、本当に福祉のまち西宮に」「日々の生活で精一杯。意見や考えていることを言える場所がほしい」「安心して施設で働けるように定期的なPCR検査をしてほしい」など切実な声が寄せられました。

 現在、毎週水曜日と金曜日の朝の駅頭宣伝と、月1回の街頭行動、各戸訪問、毎週の定例ミーティングをしています。

 街頭宣伝では、1時間で100部ほどの会の通信(ニュース)を配布。その場で食い入るように読んでくれたり、「通信読者になってくれませんか」と声をかけると「うん、いいよ」と応える人、立ち止まってアピールをずっと聞いている人も。「これだけ感染拡大している時だけに、西宮市立中央病院と県立西宮病院の統廃合の計画を中止させよう」という会のアピールにうなずく人など、共感が広がっていると手ごたえを感じています。

西宮でもできるはず

 大規模検査による状況把握と早期感染者発見から保護・隔離という原則的な感染症対策で、医療ひっ迫となる「爆発的感染拡大」を防がなければなりません。「全国初! 薬局やPCRセンターでだれでも無料で検査可能に」と「PCR検査集中実施事業」を4月から独自に開始した広島県をはじめ、無料検査を始める自治体が広がっています。

 「往来自粛」「会食自粛」「時短営業」と空念仏を繰り返すだけの首長ら(兵庫県も西宮市も)は、これらの取り組みに学ぶべきだと思います。

 市民の声を束ね、他の自治体でできて西宮市でできないはずはないと迫ります。市民の命を守るために税金を使い、本当に「平和で福祉のまち西宮」といえるまちにに変えるために取り組んでいきます。



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