2021年05月07・14日 1673号

【みるよむ(583) 2021年4月24日配信 イラク平和テレビ局in Japanイラクの児童労働を根絶しよう―グローバル資本が作り出した貧困―】

 イラクでは、厳しい経済状態の下で多数の子どもが児童労働を強いられている。貧困線以下の生活の子どもが3分の1という中で、労働現場に出され、小学校を卒業できない子どもは46%にもなる。2021年3月、サナテレビはこの問題を取材して社会に訴えた。

 番組は、イラクの子どもたちが様々な仕事に駆り立てられている場面を映し出す。小学生ほどの子どもが、工場や農園、さまざまな労働現場で大人と同じような仕事をさせられている。

 小さな男の子のインタビューでは「家族が貧しくて仕事に出た」という言葉を伝えている。学校にも行けずに幼い時から労働に従事させられている姿は痛ましい。グローバル資本が作り出した貧困は、こうした児童労働を広範に生み出しているのだ。

 これに対し、雇う側の事業主は「仕事を教えてやるので、子どもは熟練した労働者になれます。子どもの世話もしています。これは神様の意にかなっています」と平然と語る。慈善事業でもしているかのような態度で、小さな子どもを利用して金儲けしていることに何の罪悪感も示さない。

これは経済犯罪だ

 子どもの権利を守る側の弁護士は、児童労働は雇用に悪影響を与え子どもを低賃金で雇う「経済犯罪だ」と憤る。「イラクの子どもをあらゆる種類の搾取から守ることが緊急に必要だ」と主張する。

 コロナ危機と経済不況はイラク社会に重くのしかかっている。大人も大量失業と社会サービス欠如でまともな生活ができない。その中で児童労働が増大する。

 「子どもは仕事場ではなく、学校や遊び場にいなければなりません」というレポーターの訴えは切実だ。サナテレビはこうした深刻な状況の映像を通じて、児童労働をやめさせる闘いを進めていかなければとの思いを広げてる。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)

MDSホームページに戻る   週刊MDSトップに戻る
Copyright Weekly MDS