2021年05月07・14日 1673号

【井戸川裁判 千葉控訴審(第二陣)口頭弁論/国・東電は“高度の注意義務”違反/東電「実損を超え賠償済み」!?】

 住民を被ばくさせた東京電力と国の責任を問おうと福島県双葉町の元町長・井戸川克隆さんが起こした裁判の口頭弁論が4月21日、東京地裁で1年3か月ぶりに開かれた。

 原告代理人が準備書面の要旨を朗読。事故後に井戸川さんが発症した様々な健康障害と被ばくとの因果関係は疫学調査により十分認められるとし、「被告・国は、原発事業者に課される高度の注意義務に適合した安全基準を定め、それを確実に遵守させるために規制権限を厳正に行使すべきだった」と主張した。

 弁論に先立つ宣伝行動で井戸川さんは「コロナ感染を拡大させない対策もできないのが霞が関。原発事故でも原子力安全・保安院は現場から逃げた。地元各町の代表を対策本部の会議に参加させず、シナリオを勝手に変えた」と告発した。

 同日、東京高裁では福島原発千葉訴訟(第二陣)控訴審の口頭弁論があった。

 被告・東電の代理人が35分費やし延々と意見陳述。「実損額を上回る賠償を実施済み」「ほとんどの住民は避難していない」「社会的活動は再開されている」と開き直る。

 傍聴したかながわ訴訟原告団の村田弘さんは「何の反省もない“恵んでやった”という態度。許せない。被害に見合う賠償をさせない限り、この体質は改まらない」と糾弾した。

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