2021年05月21日 1674号

【1674号主張 火事場泥棒の国民投票法強行 改憲暴走の菅を倒そう】

改憲手続き法可決糾弾

 菅政権は5月6日、改憲のための国民投票法改定案採決を衆院憲法審査会で強行。11日の同本会議で可決させた。新型コロナ感染拡大の危機につけこみ、緊急事態条項の追加を狙う火事場泥棒≠セ。

 現在の深刻なコロナ禍は、自公政権が続けてきた新自由主義による医療・福祉の総切り捨てにコロナ無策が加わった人災だ。市民の命と日本社会全体を危機に陥れる原因を作った連中に、緊急事態を口実に人権制限のための改憲を発議する資格など一切ない。

 自民党と談合し改定案採決に応じた立憲民主党は「修正を反映させた」として賛成したが、修正内容は国民投票実施時のCM規制について3年後の「見直しを検討」するだけ。立憲から国民民主党に移籍した山尾志桜里は「憲法本体の議論を抑制する効果はない」と言う。修正は痛くもかゆくもない改憲派の本音が透けて見える。立憲らが自公・維新の改憲策動に手を貸したことは許されない。

緊急事態の名で人権制限

 この「強行劇」からは改憲勢力の焦りも見える。4月25日の衆参3補選・再選挙で与党は全敗。コロナ危機以降たまりにたまっていた、自公政権のコロナ無策、金権腐敗、五輪強行、汚染水放出決定などへの市民の怒りが噴出した。

 来る衆院選を控え、打開策もない菅政権は、さらなる市民分断と人権抑圧で事態を乗り切ろうとしている。今国会ではデジタル監視法案、入管法改悪案、重要土地規制法案など人権抑圧、市民監視のための法制定が次々と狙われている。まさに「人権総剥奪」体制の確立が菅政権の念願なのだ。

 新型コロナ感染拡大で、自公政権は緊急事態宣言を発令し、行動「自粛」や罰則と一体の時短・休業要請など私権制限を乱発する。収入減に苦しむ中小自営業者にはまともな補償も行われない。自民改憲4項目通りに改憲され「緊急事態条項」が導入されれば、「国策」への協力は義務となり、行動制限に従わなければ処罰される。コロナ特措法や感染症法の改悪による罰則導入と適用の動きはその地ならしである。

憲法足場に総反撃を

 都内の飲食店主は、憲法の財産権保障を根拠に科学的根拠のない飲食店敵視=「自粛」強要に抵抗する。今必要なのは、憲法を足場にすべての市民的自由を守り、生命、健康、雇用、補償など生存権を保障させることだ。その財源は、軍事費削減や五輪中止、大企業・富裕層増税で可能だ。

 デジタル監視法案、入管法改悪反対の闘いも広がる。国民投票法反対ファクス行動、デジタル法廃案行動に取り組もう。5月19日、総がかり行動実行委員会が呼びかける改憲反対緊急行動(国会前、全国各地)に結集しよう。

  (5月11日)
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