2021年05月21日 1674号

【「命より五輪マネー」のIOC/バッハ会長は「ぼったくり男爵」】

 IOC(国際オリンピック委員会)のトーマス・バッハ会長が東京オリンピック大会の7月開催を当然視する発言を連発。コロナ禍に苦しむ人びとの感情を逆なでしている。

 東京都に緊急事態宣言が出されても「大会とは関係ない」と強弁。さらには、日本の右翼政治家が大好きな精神論までぶち上げた。いわく「歴史を通して、日本国民は不屈の精神を示してきた。逆境を乗り越えてきた能力があるからこそ、厳しい状況下での五輪が可能になる」(4/28)。

 そこまで五輪開催に固執するのはどうしてなのか。もちろん五輪マネーのためである。「自分から中止を言い出さない限り、損することはない」とソロバンを弾いているのだ。

 東京大会の開催都市契約をみてみよう。大会中止や契約解除の権利はIOCにのみ有る(第66条)。不可抗力免責の規定はない。IOCが契約を破棄しない限り、何が起きようとも日本側に大会開催の義務がある契約になっている。

 しかも、IOC及びその関連会社に損害が発生したときは日本側に補償義務が生じる。第三者から請求があった場合も日本側が応じることになっている(第9条)。常識ではありえない不平等契約なのだ。

 5月5日付の米ワシントンポスト紙(電子版)はIOCの強欲ぶりをコラムで批判。「収益のほとんどを自分たちのものにし、費用はすべて開催国に押しつけている」として、バッハ会長を「ぼったくり男爵」とこきおろした。そして「IOCが訴える? そんなことをすれば評判はどうなるか」と指摘。中止の決断を日本政府に促した。

 それでも菅義偉首相は「開催は可能」と言い張る始末(5/17記者会見)。こいつもまた「命よりカネ」ということだ。  (O) 
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