2021年05月28日 1675号

【日野市長選を闘いぬいて/私たちの住む町から政治を変える/市民の力と希望を感じた/前日野市議 あるが精一】

 4月に行われた東京・日野市長選に立候補し、1685票差で惜しくも敗れた前市議のあるが精一さん(クリーンなまち日野をつくる会)。「気持ちを切り替え、悔しさを“前に進む力”にしたい」と選挙戦を振り返る。

なぜ立候補を決意したか

 昨年秋から元副市長問題について疑惑隠しの動きが顕著になりました。大坪市長は疑惑の重要項目である日額給問題調査の打ち切りを表明。12月に入ると「元副市長問題における市長から職員へのメッセージ」を動画と文書で発出しました。

 私は直観しました。「大坪市長と議会多数派は河内元副市長を悪者にして、自らは被害者面をすることで市長選に出ようとしている」と。選挙に勝てば、みそぎは済んだと疑惑にふたをしていくに違いない。

 であれば、市長選は元副市長問題を争点にして全力で闘わなければ。私は志を同じくする人に市長選の意義をことあるごとに訴えるようになりました。

 もちろん市長選に勝てる人物が候補者になることが望ましいのですが、人物が見つからず私自身が候補者として要請された場合は断らず、腹をくくる決意をしていました。

 経緯は省きますが、元副市長問題の住民訴訟で共に闘っている主任弁護士の山口俊樹さんを先頭に日野市在住の弁護士18人から「大坪市政を変えるのは、元副市長の不正を追及してきたあるがさんしかいない」と背中を押され、立候補表明をした次第です。

市長責任追及 互角の勝負

 当初、大坪陣営は徹底して元副市長問題を隠し、市長選を闘おうとしました。

 「広報ひの」4月1日号で1ページを使って、元副市長逮捕を宣伝し“謝罪”する、選挙アピールまがいの記事を掲載しました。そればかりか市長選恒例の公開討論会(日野青年会議所主催)への出席を拒否し中止にさせてしまう、まさに争点隠しに注力したのです。

 しかし、その狙いは外れました。昨年来進めてきた疑惑究明の市民運動は市民の中に浸透。マスコミも朝日新聞や読売新聞が市長選の争点は元副市長問題であるとの記事を掲載します。

 また昨年末と選挙直前の3月議会中にも大坪市長自身が元副市長問題に直接関与(当時まちづくり部長)した公文書が明らかとなったこともあり、市長の責任を厳しく追及する選挙戦になったのです。

 大坪市長を支持する議員14名に対して、あるが支持の議員は4名。前回市議会議員選挙の票数総計は約3対1の差がありましたが、今回市長選はほぼ1対1。市議選で大坪支持派候補に投票した多くの市民があるが支持に回ったのです。

 大坪陣営は、私たちの元副市長問題追及をネガティブキャンペーン、フェイクだと言い訳しましたが、市民からは「不正は許せない」「市長は責任を取るべき」と自民・公明支持層も含めてあるが支持の声があがりました。

市民が主役 共闘が発展

 市民が立ち上がり、立場の違いを超えてともに闘った選挙となりました。ハンドマイクを使ったスポット宣伝が何百か所で取り組まれ、市民が前に出て宣伝し訴えました。汚職をなくしクリーンな市政を実現することともに、箱もの行政から市民の暮らし優先の市政への転換も訴えました。政策チームとして55項目を練り上げたことも今後につながる取り組みとなりました。

 市民の反応も非常によかったです。私自身も全市域を回りながら、全く面識のない多くの市民の皆さんから激励されました。

 市民と野党の共同の闘いは最終局面で立憲、共産、社民、新社、緑の党という陣形ができるところまで進みました。

 敗れたとはいえ、私たちの住んでいる町から政治は変えられるとの希望を感じることのできる選挙になったと思います。

3万188票の重みと力

 確かに残念な結果ではありましたが、大坪陣営のみそぎ選挙の狙いは止めることができたと確信しています。

 「大坪氏 薄氷の3選」(朝日)「市民の大坪氏への根深い不信感がにじむ」(読売)などの新聞報道がそのことを表しています。あるが精一に投じた市民の皆さんの3万188票は今後も大坪市政を監視し続けるに違いありません。元副市長問題全容解明・市政変革の闘いは続きます。

 都議選・衆議院選を控えています。市長選の成果を発展させ、市民の力で政治を変えられる実例を日野市からつくっていく決意です。

 読者の皆さん! 共に頑張りましょう。

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