2021年05月28日 1675号

【議会を変える 京都府向日市議 杉谷伸夫 市民とともに地球温暖化対策へ】

 これからの10年は、「人類の未来を決める10年」と言われます。人間の活動が地球が許容できる範囲を超えており、地球温暖化は後戻りできない限界点が間近に迫っています。2050年までに温室効果ガスの排出実質ゼロ、2030年までに50%の削減を達成することが必要です。地球温暖化対策は、この10年で私たちが取り組まなければならない最大の課題の1つであることは間違いありません。

 グレタ・トゥーンベリさんが批判したように、温室効果ガスの排出抑制は進んでいません。特に日本は、京都議定書の基準年である1990年比で、ほぼ削減率ゼロです。政府の姿勢は自治体に反映します。向日市は自らが設定した削減目標の数値を「検証が困難で意味が無い」として、数年前に削除しました。

 向日市は今後10年間の環境基本計画と地球温暖化対策実行計画の改訂を今年度に行うことから、私は昨年に続き、今年3月の定例議会でも改めてこの問題を取り上げました。

 この間コロナ禍の中でも、市民の皆さんと「地球温暖化問題」をテーマにした講演会を昨夏と今春に開催しました。その中で大きな刺激を受けたのは、地球温暖化は「自分にできることをコツコツ行っているだけでは止められない(間に合わない)」ことと、「社会の本質的な大転換が必要であり、そのために何ができるかを考えることだ」という指摘でした。脱炭素社会への転換―経済成長至上主義の社会から脱成長の社会システムへの転換が求められているのは、多くの人が認識していることだと思います。

 3月の議会で、私はまずこうした状況認識を向日市が発信することが必要だと考えました。そして私の求めに応じ、市長は向日市が「気候非常事態宣言」を行うことを表明しました。私自身も「今ここから地球温暖化防止の取り組みを市民の皆様とともにスタートする」ことを宣言し、毎月発行している『杉谷ひろば』で特集連載も始めました。

 議会では、市の地球温暖化対策に市民参加の体制をつくることも求めました。その後市の計画策定委員会には、大変意欲のある公募市民委員が入ってくれましたので、計画を作って終わりでなく、継続した常設の審議会にしてゆくことが必要です。

 市民の地球温暖化対策の取り組みと連携した議会活動で、市民主役のまちづくりを一歩でも進めたいと思っています。
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