2021年05月28日 1675号

【入管法改悪反対 今国会成立を阻む/「市民社会の勝利」 移民・難民と共に生きていく一歩に】

 会期末まで1か月あまりとなった国会は、5月11日衆院本会議で改憲手続き法案・高齢者医療費2倍化法案を可決し、基地周辺住民を監視する「重要土地調査規制法案」が審議入り。12日参院本会議でデジタル監視法案が可決・成立するなど悪法強行が相次いだ。

 そんな中、政府・与党のもくろみを打ち砕いているのが、入管法改悪案反対の闘いだ。4月16日に開始された国会前シットイン(座り込み)。回を追うごとに若い世代を中心に参加者は増え、SNSを通じても大きく共感が広がる。

 名古屋入管に収容中に亡くなったスリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさんの遺族が5月1日、「本当のことが知りたい」と来日。法相との面会を希望している。遺族の自己隔離期間中に法案成立のめどをつけたい与党は、野党の修正要求を受け入れ、14日の委員会採決を画策した。

 同日、国会前には午前中からシットインの長い列ができた。主催した移住連(移住者と連帯する全国ネットワーク)の鳥井一平さんは「メディアが取り上げてこなかった死亡事件・暴行事件がいっぱいある。収容所は刑務所よりひどい」と告発する。

 「修正案で妥協してはいけない」「廃案一択」の訴えも。学生は「東京入管で面会活動をしてきた。面会室のガラスの向こう側から『同い年、犯罪もしてない私がなぜこっちにいて、あなたはそっちにいるの』と言われた。生まれた場所が違うだけで、私は好きなことができてなぜ彼女は苦しい思いをしなければいけないのか」と問いかけた。

 夕刻、与野党の修正協議が決裂し、採決が見送られたことが伝わった。

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 5月18日昼、シットインの場に「改悪案が取り下げられ、事実上廃案に」との知らせが届いた。

 「やったぁ」「市民社会の勝利」「ウィシュマさんの死の真相究明を、の世論の力」などの声とともに、「今の入管法は廃止し、国際人権規範に基づいた外国人法制度を」「移民・難民とともに生きていく社会への第一歩に」といった決意の言葉が続いた。

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