2021年06月04日 1676号

【IOCがまた暴言 「緊急事態宣言下でも五輪やる」/日本政府は今すぐ中止を決断せよ】

 新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、東京五輪・パラリンピックの開催中止を求める世論が高まっている。朝日新聞の世論調査(5/15〜5/16実施)では、五輪を「再び延期」「中止」の合計が83%に上った。

 開催中止を求めるオンライン署名は5月21日現在で37万人の賛同を獲得。署名運動を呼びかけた宇都宮健児弁護士(元日弁連会長)は「医療がひっ迫し、助かる命も助けられない事態。この状況で貴重な医療資源や財源を五輪に割くと、ますます命が助けられなくなる」と訴える。

 東京五輪中止論は海外でも続出している。仏紙ル・モンド(4/23電子版)は「変異株の祭典」になると警鐘を鳴らし、米紙ニューヨーク・タイムズ(5/11電子版)は「科学に耳を傾け、危険な茶番劇をやめる時が来た」と主張するコラムを掲載した。

 それでも東京大会の7月開催に固執する連中がいる。日本政府をはじめとする日本の五輪関係者、そして五輪の興行主である国際オリンピック委員会(IOC)の面々だ。

 トーマス・バッハ会長は「日本の皆さんの粘り強さの精神と逆境を耐え抜く能力」が安心・安全な大会を可能にすると持ち上げた(5/19)。ありていに言えば「日本人はコロナに耐えて、我々の集金活動に協力しろ」ということだ。

 ジョン・コーツ副会長は、新型コロナによる緊急事態宣言が発令された状況下でも五輪を行うのかと記者に問われ、「答えは完全にイエスだ」と断言した(5/21)。テスト大会の「成功」を理由に上げるが、マラソン競技のテスト大会(5/5札幌市)が行われた北海道で感染爆発が生じた事実には知らん顔だ。

 IOCにしてみれば、五輪強行で日本がどうなろうと構わない。大会が行われ、最大の収入源であるテレビ放映権料や確保できればOKなのだ。バッハは「ぼったくり男爵」と揶揄されたが、コーツには「死神」の異名を贈りたい。

 菅義偉首相も「死神」の一味である。週刊文春(5月27日号)の報道によると、ある現職閣僚がこう漏らしたという。「結局、菅さんはアスリートのために五輪をやりたいというより、『自分がいかに政権を続けるか』しか考えていない」

 死神・菅は東京五輪を「人類がコロナに打ち勝った証し」にしたいとほざいているが、このまま強行すれば「カネと権力の亡者どもが民主主義を踏みにじった証し」になってしまう。

 そんなの絶対許せない。日本政府は東京五輪中止を決断せよ。今すぐだ。

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