2021年06月11日 1677号

【1677号主張 民意は コロナから命を守れ 五輪は直ちに中止決定せよ】

批判無視で五輪強行へ

 東京オリンピック・パラリンピックの開催中止を求める国内外世論がかつてないほど高まっている。

 開催中止を求めるオンライン署名は40万筆を突破。五輪スポンサーの朝日新聞もついに社説(5/26)で「五輪中止」を首相に求めた。米紙ニューヨーク・タイムス(5/11)は「五輪を中止せよ」との論考を掲載し、世界4大医学誌の米ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(5/25)は、「IOC(国際オリンピック委員会)の(五輪開催)決意は最高の科学的証拠の情報に基づいていない」と批判した。

 しかし、菅首相は緊急事態宣言の再延長を発表した会見(5/28)で、国内外の批判を無視し、五輪開催強行どころか観客を入れる方向での検討を表明した。実際、東京都では観戦に小中学生ら81万人を動員する計画が進んでいる。しかも、その通知には感染対策は明記されず、観戦拒否は「欠席扱い」にするというとんでもない内容だ。

 開催ありきで、市民や参加者の命と生活を犠牲にすることは許されない。東京五輪はただちに中止決定しなければならない。

カネのための開催NO

 IOCは「緊急事態宣言下でも開催する」「菅首相が中止を求めても大会は開催する」と常軌を逸した発言を続けている。

 それは五輪がカネ儲けの祭典≠セからだ。IOCは夏冬6大会の米国内での放映権契約を約7780億円で結ぶなど、収入の7割を世界のテレビ業界から得ており、開催さえできれば放映権料を確保できる。日本の感染状況がどうなろうと構わないのだ。

 5月24日、米国務省は日本への渡航中止を勧告した。米疾病対策センターが日本の感染状況を最も厳しいレベルと判断した結果だ。この状況では、9万人以上の関係者が集う五輪が感染拡大の震源になりかねない。まして開催のために全国から医師や看護師の大量動員を強行すれば、医療体制ひっ迫で日々命が奪われる事態は一層深刻化する。

 民意を否定するカネと権力の亡者たちに、命をゆだねることはできない。

ZENKO中央行動へ

 直近の世論調査(5/22東京新聞)では、中止が6割以上を占めた。都内の市町村議132人は、感染拡大防止と医療崩壊の回避、生活困窮者や事業者救済を徹底するため五輪中止を求める緊急要請書を首相・都知事らに提出し声を上げた。

 今やるべきは、中止を決定し、検査と医療拡大、補償に全力をあげることだ。

 6月11日のZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)中央省庁要請行動で、悪法阻止、東アジアの平和、五輪でなく命とくらしを守るコロナ対策を要求し、菅政権の政策転換を迫ろう。

  (5月30日)
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